今年は、昨年暮の大瀧さんの予期せぬ死去でそのショックを数ヶ月引きずっていました
ほとんどCDも買わずじまいでしたが、解散したキリンジ(兄高樹)の新譜にぞっこんマイってしまいどっぷりと。とりわけコトリンゴさんが歌う「fugitive」の声が一耳残りして、慌ててコトりんごさんのアルバムを集めた程です。そして、青山CAYでのコンサートにでかけ、ほんの僅かな時間お話もでき(サイン+握手も)、なんとキリンジ高樹さんとも図々しくお話も出来てちょっと舞い上がってしまいました。
萩原健太さんの「ボブ・ディランは何を歌ってきたのか」がきっかけ
ようやく、ディランを時系列で聴き直すことができました。健太さんも書いておられましたが、私にとってもディランは掴みきれていなかった存在でした。今のところの新譜「Tempest」(2012)のスゴさに「Modern Times」(2006)まで遡って聴きこんでいましたが、実態が分からない状態の数年間。初ディラン体験は「John Wesley Harding」。当時のアイドルだったザ・バンドのジャケットを描いた影響力のあるミュージシャンというのに惹かれて買ってみましたが、正直言ってつまらなく手放すはめに。なんかモヤモヤした存在のままに、私はバーバンク〜ベアズヴィルから一気にサルサの世界に踏み込んでしまいました。
健太さんの本を手ががりに順を追ってのディラン体験中に飛び込んできたのが「The Basement Tapes Complete」のボックス。66年のバイク事故から「John Wesley Harding」や「Music From Big Pink」につながる空白が目の前に広がり、ああこうだったのかと小躍りしたいほど。合わせて「Self Portrait」のボックスからは、ラジオから流れてくる音楽に惹かれてミュージシャンを目指したディランの気持ちがよく分かるし、今のディランの心境も遅まきながら分かるような気がしてます。
サイケデリックに向かっている世の中とは正反対の「The Basement Tapes」に残されたサウンドにいち早く惹かれてウッドストックへ訪ねて行ったジョージ・ハリスンとの友情も色々想像していると、タイミングよく届いた、「The Apple Years 1968-75」のボックス。米英ミュージシャンをつなぐ架け橋のような存在から生まれる音楽が奇跡的なほど。数年前にでた「Dark Horse Years 1976-92」ボックスと並べるとちょっとニンマリしてしまいそう。遺作の「Brainwashed」も何度も繰り返し聴いてました。
震える歌声に揺さぶられて
ドイツ人なのに日本人以上に日本のことに詳しい友人。ここ数年会っていないけど、彼が一番好きなのがマリア・カラス。勧められるままにベスト盤とか聴いていましたが映画「グレース・オブ・モナコ」をきっかけに色々気になって調べ始めたのが秋。なんとまぁ豪華なボックスにはまだ手を出していませんが同様にアビーロード・スタジオでオリジナルテープまでさかのぼりリマスターされた音源を使ったベスト版「Pure」をよく聴いてました。革命的なオペラ歌手でありながら晩年はあまり幸福ではなかったように聞いてますが(只今「マリア・カラス 聖なる怪物」を読んでいる)音源として残っているまたは映像として残っている歌や姿は圧巻です。「Pure」の初回特典DVDでの「恋は野の鳥(ハバネラ) 〜歌劇≪カルメン≫」の姿は(全盛期を過ぎているとはいえ)何度観ても心震えてしまいます。
めぐみさんが編集したコンピレーションでガリシア音楽に出会う
どうも特定のジャンルを掘り下げていく傾向がありますが、不意打ちのように目の前に現れたガリシア音楽。スペイン北西部にありながらケルトな響き。どこか懐かしくもコンテンポラリーな世界。亡き妹と手をつないで小学校に通っていた温もりのような音楽。世の中にはもっともっといい音楽が芽吹いているんだなぁと、色々と考えさせられました。
「グランド・ブダペスト・ホテル」と「ジャージー・ボーイズ」
映画館には比較的行きましたが、やはり「グランド・ブダペスト・ホテル」の衝撃は大きかったです。めくるめくるポップでカラフルなスピード感にクラクラ。ウェス・アンダーソンという監督を初めて知るきっかけになりました。それから、毎週、ウェス・アンダーソン監督全作品を観るはめに。二ヶ月はドップリ浸かって「ライフ・アクアティック」「ファンタスティック Mr.FOX」は何度も愛おしくなって何度も繰り返すほどに。
今年のベストは「グランド・ブダペスト...」かと思いきや、その衝撃を打ち消すような「ジャージー・ボーイズ」。フォー・シーズンズの物語、音が躍動して夢と希望がはじけて愛と裏切り。そして、クライマックスでは知らず知らず泣かされるまでににめり込んでしまいました。アメリカ映画の良心のの塊のようなイーストウッド監督の底力をまじまじと知りました。
音楽はジャケットも含めて楽しみたいそう思っていますが、個人的にはアナログ盤に戻る気がしないのも正直な気持ち。そこで、俄然個人的に注目なのがハイレゾ。音源も設備もまったく未知の世界ですが、機会があれば一度きちんと聴いてみたい欲求もあるけど、はてどうなるやら。来年も心震えるような音楽と映画に出会えるといいなと強く願ってます。
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