本屋とレコード屋巡りで一日が過ぎていく
ネットもSNSもない頃はそうして一日が終わっていた。閉ざされているようで想像だけは無限と信じていた頃、本屋の気になるコーナーには決まって昌文社の本が並べられていた。いや、昌文社の本を探していたというべきか。
図書館借りている『平野甲賀 装幀の本』(※1)を眺めていると読んではいないが見たことのある本が数多く目には入ってくる。平野甲賀さんのことを意識したのは小林信彦さんの『日本の喜劇人』『「世界の喜劇人』だった思う。タブロイド版の大きさのワンダーランド〜宝島の創刊は激しく刺激的だった。
一連の小林信彦さんの著書ではしばらく河村要助さんとのコンビ(※2)が続いていて新刊が待ち遠しかった。タイトルの描き文字の雄弁さと意図にも毎回驚かされていた。『僕の描き文字』に収められた文章には、94年以降Mac+Illustratorで製作を始めていたとあり、デザインへの真摯な姿勢を感じてしまった。こうして、気ままに改めて並べてみると装幀の良さが中身の良さも表していることに気がついてしまった。
※1:1964〜1984までの約1,300冊の装幀集(1985)
※2:サイン会で小林さんに「河村要助さん平野さんは小林さんの指定ですか」と尋ねると「出版社の方針です」と回答いただいた。この辺の話も『僕の描き文字』に書かれている。
平野さんが亡くなったことは小林信彦さんの週刊文春の連載コラムと以前印刷のことでお世話になった方のFacebookの書き込みから知りショックを受けてしまった。そして、今月末に発刊する『決定版<日本の喜劇人>』が小林信彦さんとの最後の仕事になってしまった。
喜劇人に花束を(小林信彦)1996
日本の喜劇人(小林信彦/中原弓彦名義)1974
平野甲賀 装幀の本 1985
古川ロッパ昭和日記 戦前編、戦中編、戦後編、晩年編 1987〜1989
私設東京繁晶記(小林信彦、荒木経惟)1984
怪物がめざめる夜(小林信彦)1993
ぼくたちの好きな戦争(小林信彦)1986
定本日本の喜劇人(小林信彦)2008
マルクス兄弟のおかしな世界(翻訳小林信彦/中原弓彦名義)1978
大阪の笑芸人(香川登志緒)1977
東京のロビンソン・クルーソー(小林信彦)1974
エルビスが死んだ 小林信彦のバンドワゴン1961→1976(小林信彦)1977
紳士同盟(小林信彦)1980
紳士同盟ふたたび(小林信彦)1984
唐獅子源氏物語(小林信彦)1982
悪魔の下回り(小林信彦)1981
裏表忠臣蔵(小林信彦)1988
発音訓練(小林信彦)1984
サモアン・サマーの悪夢(小林信彦)1981
ちはやふる奥の細道(小林信彦)1983
夢の砦(小林信彦)1983
極東セレナーデ(小林信彦)1987
世間知らず(小林信彦)1988
花のサンフランシスコ(アラム・サロイヤン)1982
平野さんのことは2015.5月にも書いていることを思い出した。
https://borinquen.typepad.jp/blog/2015/07/hiranokouga.html
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