二週間ほど前から読んでいるけどいろんな気付きがある
デビュー直後から最近までに、雑誌や単行本に書かれた文章をまとめたのが『雑文集』。大きな小説と次の小説との間には、この手の本が出るものですが、その穴埋め以上の輝きがこの本には溢れています。時系列に並べるのをあえて避け、テーマごとに分類された文章。書くことについて、サリン事件、ブライアン・ウィルソン、ジャズ、ウィントン・マルサリスの発言、音楽論、図書館、翻訳されるということ、翻訳すること、スポーツ、レイモンド・カーヴァー、チャンドラー、フィッツ・ジェラルド、ワタネベ君のワタナベは水丸さんの本名だったとか、1Q84の青豆の由来...。どこから読んでもためになる話やうんうんと頷いてしまう話。レイモンド・カーヴァーとかもう一度真剣に読んでみようかな、とその気にさせる話も満載です。出来たら、テーマを決めたらその中での順番に沿って読むのがいいと思います。
しかしいずれにせよ、風は常にそこにあったし
僕らは風とともに目覚め
風とともに行動し
風とともに眠りについた
...なんて言い方ホント素敵です
装丁は安西水丸さんと和田誠とおなじみの二人。しかも、あとがきまで。二人しか知らない村上春樹の話を楽しそうに話していますので、三人のファンでもある私をさらに喜ばしてくれています。レイモンド・カヴァーの本を中古で持っているんですが、何故かレイモンド・カヴァーと村上春樹のサイン入り(印刷)。水丸さんが、
春樹君の字を僕は「カリントウ」と呼んでいるんです
油で揚げたような字でしょ?
ただ、油で揚げているんですよ、サッと(笑)
と、話しているけど、これがカリントウなのかなぁ...。
ちょうど、昨夜読み終えたので、次はレイモンド・カーヴァーにするか『ポートレイト・オブ・ジャズ』にするか『華麗なるギャツビー』を再読するか。ちょっと迷っていましたが『世界のハードボイルド・ワンダーランド』に決めました。
ここに、本当は論争を巻き起こした「壁と卵」のスピーチをYouTubeから探して、動画をここに掲載したかったのですが、日本のTVニュースしかなく真意がまるで伝わらないので取りやめました。その代わりにこの『雑文集』には全文が本人の解説付きで載っていますので、是非読んで欲しいです。青山のバーを足げに通わない限り本人には会うことはないと思いますが、もし会えたら「キース・ジャレットはお好きですか」と。
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