知らない間に実験で
知らない間にモルモットで
知らない間にピカドンで
知らない間に水爆病
これは呆れた驚いた
何が何だかわからない
これが平和というものか
あちら任せの平和論
知らない間に値上げして
知らない間にMSA
知らない間に教育法
知らない間に機密法
これは呆れた驚いた
何が何だかわからない
これが自由というものか
あちら任せの自由論
知らない間に金上げて
知らない間に金取って
知らない間に税金で
知らない間に自衛隊
これは呆れた驚いた
何が何だかわからない
これが政治というものか
あちら任せの政治論
これが自由というものか
作詞・作曲:三木鶏郎 / 歌:榎本健一 1954
トリローってトリオのことだったんですね
♪ワッワッワー、ワが三つ...
♪ビューンと飛んでく鉄人 28ゴー
♪ネコにネズミが噛みついた アベコベだネコたたき
♪みんな家中電気で動く
思えば、幼いときにTVから流れてきた曲
三木鶏郎作が多かったんですね。いまでもふっと口ずさんでしまいます。テンポがよくてやわらかいメロディー。そんなワケで、ずいぶん長い間CMソングの専門家と思っていました。ところが、本人の回想録と『「日曜娯楽版」時代―ニッポン・ラジオ・デイズ』を読みながら入手できた音源を聴いていると、あきれたぼういずをお手本にして、風刺とウィットの効いたラジオ番組をやっていたことが分かりました。進駐軍の擁護を受け急速に民主化が進んだ敗戦直後のラジオには、いまでは想像できないほどの自由と創造があり、政治、風俗、ゴシップを独特の切り口で展開した番組が「日曜娯楽版」。毎週日曜日8時半は番組中の「冗談音楽」に日本全国釘付けだったようです。
A「命売ります」
B「いくらです?」
A「筋骨隆々たくましい、大の男が一匹が、値段はたったの一万円」
B「ずいぶん高くなったねェ」
A「そんなこと言って、昔はいくらだったんだい?」
B「軍隊時代は、タダで捧げたんじゃないの」
大瀧さんとの関係
進駐軍から解放されて独立後規制が厳しくなり、番組も「ユーモア劇場」に変更。昭和29年6月13日に終了。前後して三木鶏郎はCMの世界へ入っていく。私が知っているのはここからです(なにせラジオ・デイズ時代は生まれていないので)。軽快で風刺とユーモア溢れるコントを支えるのは、リズムセクション+ホーンとストリングス、そして効果音。『日曜娯楽版』にはスタジオの配置図も紹介されていますが、まるでペットサウンズの録音状況のようです。そういえば、大瀧さん...と考えていたら、『三木鶏郎大楽作品集』のライナーに「...森さんは三木鶏郎門下!もう最初に会った時点で既に私は《CMの歴史》に組み込まれていて、大森明男門下となった私は、栄誉ある三木鶏郎の”孫弟子”になったのでした」とあり、なるほどそういうことなのか、と納得。
「これが自由なのか」は「ユーモア劇場」最後のヒット曲。あがた森魚もカバーしていますが、昨日できた曲と言われてもおかしくないほど、昨日今日の日本のようです。いくらなんでもあのシャツはないんじゃないとそのセンスを疑ってしまう男。寄ってたかって批判していますが、その前の長く続いた政治の残務整理をしているのも事実。まぁ、ママにもらったお金をあいまいにしているのでどっこいどっこい。そんな世相を誰に遠慮することなく風刺とユーモアで笑い飛ばす。いまの日本ではムリなのでしょうか、ねぇ。
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