最近よく聴くアルバム三枚
何故か、再会した二人の会話を横で聞いているような感覚に襲われます。
音楽的にも人間的にも強く惹かれあった同士が、時を隔てて再会する。ひとつのものが、お互い異なった道を歩み、そしてどうしても今(その時)お互いを必要とする。音楽が音楽であった70年代までにに静かで大きなコアのようなものを私に残していた二人の再会。当時と同じような、さらに深みを増した感覚と余計に瑞々しさを覚えました。KARAのようにインターネットを駆使して最新の情報=データを追いかけるのも楽しいですが、このように熟成しながらも口に含むと鮮やかな輪郭を感じるワインのような音楽も私にはどうしても必要です。
キャロル・キングとジェイムズ・テイラー、そしてセクション3/4のコンサートは、今でもじわじわと心に蘇ります。来日コンサートは比較的いい席で見ることができましたが、二人を身近に感じられるほどの狭さでのトルバドールでのライブは、まるで春の柔らかな日差しを背中に感じながらランニングしているかのような雰囲気です。二人のキャリアを運命付けたトルバドールでの出会い。移り変わりの激しい業界で、変らず素晴らしい音楽を創造していく喜びまでもこちらへ伝わります。(DVD付で是非)
トルバドールといえば、無名時代のジャクソン・ブラウンとイーグルスとなるメンバーとの出会い。本人名義のアルバムの発表前に、作家としてあちこちのアルバムに、クレジットを見つけていたこともありました。憂いに満ちた歌声とデイビッド・リンドレーのサポートがとてもフィットしていて、繰り返し聴いていたのが2nd、3rd。ジャクソン・ブラウンとスペインの仲間たちがどうしてもリンドレーと演りたいと望み、隠遁生活のリンドレーを引きずり出す。あらゆる弦楽器を駆使する彼の発する粒立ちのいい音の数々は、名うてのスペイン人ミュージシャンの織り成すサウンドにも、程よくブレンドされています。このスペインでの公演をまとめたライブは、単独のアコースティック・ライブ・シリーズとはまた違った格別の味わいがあります。ジャクソン・ブラウンがトリビュート・アルバムも出ているほどスペインで人気の高いこともライナーノーツで知ることができました。つたないスペイン語のMCもキュートです。
キースとチャーリー・ヘイデンはアメリカン・カルテット以来の再会。アルバムに収める曲を三年も二人で選んでいた、とキース自身によるライナーにありました。喧嘩別れしたはずだけど、三年も同じ作業が出来るのだから、そんなことは余計な心配ですね。寄り添うよう静寂と静寂の狭間にポツンと置かれた音。夜、部屋に帰ると朝に咲いた花のほんの僅かな香りで季節を知る。暮れて闇が深くなる直前の風が部屋に流れてくる。穏やかで平和な佇まいにハッとすることもない。日本公演のポスターらしきものが映っていている、キースの奥さんが撮った写真も、セッションの幸せな結末を表わしているような気がします。
60~70年代、これまでの価値観が大きく変った時代に生き抜いてきたそれぞれの二人。まだ、予感なのですが、今の時代同じような変わり目に自分達がいるのではないかと。
自身の人生も折り返し地点を過ぎている今、その後の変っていく姿の証人になれるかどうか分かりませんが、静かに見つめていきたいと考えています。
なんか、十年以上連絡を取らず音信普通だったMasaと再会した途端に、まるで昨日会っていたかのようにお喋り始めたこと。その感覚なのでしょうね、彼らの再会も、きっと。
そういえば、昨夜の落語も二人会だった。
そして、二人といえばロッパとエノケン。これが実に気になっているのです...。
コメント
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