Casa de Borinquen

Roberta Sá / Delírio No Circo 2016.5.21 Circo Voador 憧れの歌姫のライブ映像にただ見つめるばかり ちょっと微笑んだ時の口元がチャーミングなんだなぁ

昨年リリースの『Delírio』に年明けメロメロ
飽きることなく毎日朝昼晩聴き続けていたアルバムを中心のライブ。あの曲はどうやって歌っているんだろうかと色々と想像していたんです。InstagramでDVD/CDの発売を知り手に入れたDVDに今はメロメロになってます。

バックは『Delírio』のメンバーを中心にパーカッション3名、ベース、バンドリン&カバキーニョ、ディレクター＆アレンジのロドリゲス・カンペロ。どちらかといえばショーロ/サンバ寄りのアレンジ。これが、ふくよかで滑らかな彼女の良さを充分に引き出して素晴らしく、幕が上がりおもむろに登場する時から、もうグっときて涙。時折見せる微笑んだ時の口元のチャーミングさも愛おしいほど。名曲「Me Erra」を何度も繰り返しては溜息ばかり。

ゲストはモレーノ・ヴェローゾ（カエタノ・ヴェローゾの長男）、マルチーニョ・ダ・ヴィラと豪華。特に、78歳でも新譜発表と充実のマルチーニョ・ダ・ヴィラは大好きな「Disritmia」も披露。これは予期せぬだけにうれしかった。

ブラジルの今。
余白を残しながら前に進んでいく姿。
際立つほど美しく眩しい姿に羨ましくなるほど。

1. Não Posso Esconder O Que O Amor Me Faz
2. Cicatrizes
3. Se For Pra Mentir
4. Um Só Lugar
5. Samba De Um Minuto
6. Me Erra
7. Delírio
8. Bem A Sós
9. Covardia
10. Amanhã É Sábado - Part. Martinho Da Vila
11. Pot-Pourri (Me Faz Um Dengo / Disritmia) -  Martinho Da Vila *
12. Água Doce
13. Meu Novo Ilê - Moreno Veloso
14. Um Passo À Frente - Moreno Veloso *
15. Ah, Se Eu Vou *
16. Gostoso Veneno
17. Samba De Amor E Ódio *
18. Menino
19. O Nego E Eu
20. Boca Em Boca

*CD未収録

ディランのノーベル賞受賞スピーチ

パティー・スミスの感動的な歌声とディランからのメーッセージ

　皆さん、こんばんは。スウェーデン・アカデミーのメンバーと、今晩ご臨席の素晴らしいゲストの皆さまに心からのごあいさつを申し上げます。

　出席できずに申し訳ありません。しかし私の心は皆さんと共にあり、名誉ある賞を光栄に感じていることをご理解ください。ノーベル文学賞の受賞を、想像したり予想したりすることはできませんでした。私は幼い頃から、このような栄誉に値すると見なされた人たちの作品に親しみ、愛読し、吸収してきました。キプリングや（バーナード・）ショー、トーマス・マン、パール・バック、アルベール・カミュ、ヘミングウェーなどです。作品が教材となり、世界中の図書館に置かれ、恭しい口調で語られる文学界の巨人たちには、常に深い感銘を受けてきました。このリストに私の名前が連ねられることに、本当に言葉を失ってしまいます。

　これらの人々が、ノーベル賞にふさわしいと自ら思っていたかは分かりません。しかし本や詩、戯曲を書く人なら世界中の誰もが、ひそかな夢を心の奥深くに抱いていると思います。恐らくあまりに深く秘められているため、本人でも気付かないほどでしょう。

　私にノーベル賞受賞の可能性がわずかながらあると言われたとしても、月面に立つのと同じくらいの確率と考えなければならなかったでしょう。事実、私が生まれた年とその後の数年間は、世界でこの賞にふさわしいと見なされた人はいませんでした（注・1940～43年は文学賞受賞者がいなかった）。だから控えめに言っても、私は自分が非常にまれな集団の中にいることを認識しています。

　この驚くべき知らせを受けた時、私はツアー中で、正確に理解するのに数分以上かかりました。私は文豪ウィリアム・シェークスピアのことが頭に浮かびました。彼は自分を劇作家だと考えていたと思います。文学作品を書いているという考えはなかったでしょう。彼の文章は舞台のために書かれました。読まれることではなく、話されることを意図していました。「ハムレット」を書いている時、彼はいろいろなことを考えていたと思います。「ふさわしい役者は誰だろう」「どのように演出すべきか」「本当にデンマークという設定でいいのだろうか」。創造的な構想や大志が彼の思考の中心にあったことに疑いはありません。しかしもっと日常的なことも考え、対処しなければなりませんでした。「資金繰りは大丈夫か」「後援者が座る良い席はあるか」「（小道具の）頭蓋骨をどこで手に入れようか」。シェークスピアの意識から最もかけ離れていたのは「これは『文学』だろうか」という問いだったと確信します。

Rumer This Girl’s In Love a Bacharach & David Songbook

ルーマーとバカラックとの出会い
デビュー以来新譜がリリースされると必ず聴いているのがルーマー。声が大好きで真っ青な空でむかえる朝、人恋しくなる夕暮れ、夜明け前とかにも新旧問わず聴き続けている。数年前にバカラックと出会い（眼の前で歌った）アルバム制作を約束し出来上がったのがこの作品。

往年のバカラック＆デヴィッドの名曲を中心としたアルバムはしっとりと心に染み込んでくる。公私ともども素晴らしいコンビネーションを作り上げているロブ・シラクバリ（アレンジ、プロデュース、各種楽器）の功績も大きいと思う。往々にして大げさになりがちなカバー物を、美しく抑制され他サウンドにしたのはアル・シュミットと知ることに。

20年前にライノから出ていたコンピレーションも合わせ、あと数日で今年も終わろうとしている静かな休日に届いたアルバムを静かに流しながら夜を迎えている。

1.The Look Of Love - Dusty Springfield 1967
2. Balance Of Nature - Dionne Warwick 1972
3. One Less Bell To Answer - Fifth Dimension 1967
4. Are You There (With Another Girl) - Dionne Warwick 1966
5. (They Long To Be) Close To You - The Carpenters 1970
6. You'll Never Get To Heaven (If You Break My Heart) - Dionne Warwick 1964
7. Land Of Make Believe - Dionne Warwick 1964
8. A House Is Not A Home - Dionne Warwick 1964
9. Walk On By - Dionne Warwick 1964
10. The Last One To Be Loved - Dionne Warwick 1964
11. This Girl's In Love With You - Herb Alpert / Dusty Springfield 1968
12. What The World Needs Now Is Love - Jackie DeShannon 1965

■Rumer
http://rumer.co.uk
http://rumer.co.uk.457elmp02.blackmesh.com/home/

Prince 1958.6.7 - 2015.4.21

追悼プリンス
デヴィッド・ボウイ、グレン・フライ、モーリス・ホワイト、ジョージ・マーティン、四代目江戸家猫八、伊藤ユミ、永六輔、大橋巨泉、レナード・コーエン、りりィ、レオン・ラッセル、グレッグ・レイク、キケ・ルッカ、ホセ・ルーゴ…。音楽関係だけでも多くの訃報に驚き悲しみを受け止めた一年でしたが、最もショックだったのが4/21のプリンスの知らせ。

iPhoneに入れたままの『Sign o' the Times』『Rainbow Children』を繰り返し聴いていたのが夏頃。そのうちじんわりと事の大きさに気がついた途端、思い立って手にすることが出来るアルバムを片っ端から聴いています。一時は黒のビキニにトレンチコートで仁王立ちに憧れ、1st〜2ndをいち早く評価していた今野雄二の事を思い出し、ギタリストとしても再評価、『Purple Rain』を30年ぶりに観てカワイすぎるアポロニアにうっとり、いまでも『Lovesexy』のLPを探していたり、「Kiss」が3コードの曲だったと気づいたり、いつもどこかで気にしている存在。プリンスの音楽と魂は決して失われることがないと分かっていてもやっぱり悲しくもやるせない…。

今日はジョージの命日 あれからもう15年も経ったなんて そんなことを話しながら今夜の鍋はおじやで締めてみた

寒さがまして年末に近づくと
ああ光陰は矢の如しなんだなぁ、としみじみ。それというのも今日はジョージの命日。四人それぞれに大好きなんですが、特にジョージが好き。「My Sweet Load」初めて聴いたときの衝撃や夢中になってシングル盤を飽きることなく繰り返し聴いていたことも思い出してちょっとしんみり。ギタリストとしても尊敬しています。

しんみりばかりではいけないので鍋
昆布をしばらく水に浸し十分に出汁が出たら火を付け鶏団子。昆布と鶏の出汁がちょうどよくなったら白菜、えのき、ネギ、ほうれん草、木綿豆腐を入れてひと煮立ち。あっという間に出来上がるからうれしい。そのままでもよし、高知のゆずポン酢＋柚子胡椒でもよし。そして最後は信州緑大根の漬物と合わせておじやで締める。ウマイんだなぁ、最後まで、うん。

いいんだなぁ、こってりとした食べ物もいいけど名古屋土産の「大吟醸 木曽川」がとても合うこういう夕食もまたいい。

久々の吉祥寺 QUATTRO LABOで味わうジェームズ・テーラー 帰りは今はなきレコード店「Georgia」を訪ねて

つつじヶ丘の帰りは吉祥寺
どうせなら近所の友人夫婦にも逢いたいなと待ち合わせは噂の「QUATTRO LABO」で。店内に入るとジェームズ・テーラー「Fire & Rain」。もう、心に染み付いた曲が出迎えてくれました。LPレコードから流れる柔らかめの音が店内に流れ、思わず白ワインを手にしながら友人夫婦を待ってました。

久しぶりの声と自家製クッキー
もしかして5年ぶり、もしかして10年ぶり。それでも共通の話題があればまるで昨日会ったばかりのような雰囲気で話し始める。BLOGで近況が分かっているのでちょっと補足するだけ。こうして、心のどこかに大事にしているものを手に取り温め合うこともいいなぁと思ってしまった昼下がり。

明日は雪になりそうだね、

と言って吉祥寺の雑踏の中で四方向に別れた。 

…大阪出張（ついでにちょこっと京都）〜世界キャラクターさみっとin羽生〜赤坂〜つつじヶ丘〜四谷荒木町、二週間は休日も出歩いていたので、今日は部屋で11/23の吉祥寺を思い出しながら、いただいたクッキー（Snow Ballという名前が可愛い）と白ワインでまったり。（ホントは紅ズワイガニスペシャルの四谷荒木町に心惹かれたけど我慢我慢）

マイサンのためにトム・ペティーが主役の絵本の話、デュプリーのソロ・アルバムのジャケットのような部屋（大きなソファ、椰子の木）でギターを弾いていたら最高の気分だね、やっぱりジャケット愛なんだよとか、周りには話の合うヤツがいないので短い時間だったけど話せてうれしかったなぁ。

LABOから冨田ラボと辿り「眠りの森」
どんよりと曇ったプリンスの『Black Album』、『Teasin'』（それにしてもリチャード・ティー、チャック・レイニー、バーナード・パーティ、ラルフ・マクドナルドは鉄壁だなぁ 1974作）を合わせて繰り返してばかりの午後。

■QUATTRO LABO
http://quattrolabo.com

Song of Today #97 清く 正しく 美しく / 安全地帯（玉置浩二）人生の応援歌って色々あるけど今こればかり聴いている

 

 

悲しいときは空を見て
誰も悪くないと言おう
淋しい時は海に来て
もう自分を責めなくてもいいと言おう
うれしい時は風になり
麦を鳴らしてたたえよう
やさしい時は「あの人」に
「ゴメンね」「ありがとう」と言おう

くるしい時は山を見て
もう逃げたりしないぞと言おう
虚しい時はふるさとの
母（だいち）を想い泣けばいい
何もできなくなってしまった時は
清く 正しく 美しく
清く 正しく 美しく
ただきみの手を握りしめてよう

清く 正しく 美しく
清く 正しく 美しく
きみだけを きみだけを きみだけを
黙って抱いていよう

清く 正しく 美しく / 安全地帯（玉置浩二）2011

・・・

自分の中に人生の応援歌って色々とあり、水前寺清子だったりサルサの全ての曲だったり、サム・クックの声だったり。季節が変わり（この感触って性急だと思うけど、それは心の準備が出来ていないだけと思っている）、希望の光の朝や暮れて自転車の光だけが路面を照らしている時に、染み入るこの曲が今の応援歌のように響く。

玉置さんの声、いやヴォイシングって独特でフレーズとフレーズの間にある揺らぎが強く何かを伝えてくれるようで見えない風景を見せてくれるような気がして何度も繰り返したくなる不思議な力がある。この曲を知ったきっかけは、珍しく夫婦で出演した「サワコの朝」での弾き語り。うわぁ〜、と思い慌てて安全地帯のアルバムを入手。

同時に大きな仕事の節目を終えてもなお憂鬱な日々に響く、清く 正しく 美しく…。

Song of Today #96 Get It Up for Love / Ned Doheny 1976

雨上がりの朝
路面や芝生がキラキラと輝き
真っ青な空に雲がモクモク
大学のキャンパスを自転車で抜けていくと清々しい空気に心あらわれるようでとても気持ちがいい。

そんな時にはネッド・ドヒニーのこの曲が急に聴きたくなるんだ。76年のリリースは『Hard Candy』はこの時代だからこそ生まれたサウンド。ファンキーなアコースティック・ギターに導かれるコシのあるタイトなリズム。エッジの効いた歌はポップソウルの典型的な姿。当時すでに片足半分以上サルサの世界に足を踏み込んでいても、この曲は、いや～、もぉ何度も何度も聴いていました。

おりしもこの曲を含めたベスト的アルバム『Separate Oceans』には、この曲のデモも含まれていてなかなか興味深いです。甘くて軽めになりがちな部分も軌道修正したスティーブ・クロッパーの手腕も納得。とかくAORというくくりで考えられてしまいがちですが、いつの時代でも良質のPOPSというのは音楽のジャンルを問わず永遠だなぁと。

目の前でこの曲を聴かせてくれた話は今度の土曜日につつじヶ丘でもう一度訊いてみよう...。

ジャニス：リトル・ガール・ブルー エイミーと同じくあまりにも短い生涯 映画を観た前後に聴いていた「The Peal Sessions」にも涙

エイミーの映画は歌詞が
ジャニスの映画は手紙をコラージュ
1970年という軸を捉えジャニスを多面的に捉えて見応え充分の映画だった。音楽的にも充実していた矢先の死、残された最高傑作「The Peal」。人生はあまりにも残酷といえども、やはり残された音楽＝魂は永遠に光り輝いている。もし、という言葉を使えるのなら例えばトム・ダウドのプロデュースで南部録音も可能性としてあったと思う。

リアルタイムでは分からず今となって（色々な音楽を知って）みれば、ロックというよりもアレサやキャンディ・ステイトンのテイストも感じる。そして、最後の公の場所の登場となった「フェスティバル特急」と呼ばれた列車に乗ったカナダ・ツアーでの、ジェリー・ガルシアらとの楽しそうな姿がよけいに辛くなる。

映画を観た前後で聴いている『The Peal Sessions』でのスタジオの様子や会話。ホント活き活きとしていて、フル・ティルト・ブーギー・バンドと曲ができあがっていく様子も手に取るように分かる。当時その良さが分からなかった「Me and Bobby MacGee」を聴きながらしみじみとしてしまった。

自由って失うことが何もないこと…って、そうなんだよね。

■ジャニス：リトル・ガール・ブルー
http://janis-movie.com

麺屋 翔@西新宿 むむこれは動物系が一層の深み 東北の味噌と新宿の味噌の密かな違いもじんわりと感じ、やっぱり元気をもらう応援歌のような一杯

大阪からの客人を迎えて一ヶ月ぶりに
13:00を過ぎても熱気あふれる店内。そしていつもの「特製 味噌らーめん 札幌風」。一口スープをすすると分かる進化。ゲンコツを入れた動物系を重視したそうだ。日々進化する麺屋 翔らしい展開にレンゲが止まらない。麺とのからみ、チャーシューのトロトロ加減、ちょっとしたアクセント以上の存在のすりおろしの生姜。大さんと一体化したキビキビとしたスタッフの動き。

おいしいラーメンの全てが凝縮されて、ああウマイなぁ…といつもながら溜息。

山形で二杯、仙台で一杯、西新宿で一杯
帰省時の短期間で味噌らーめん三杯。いづれも鶏ガラ出汁に味噌。麺屋 翔を入れると四杯の違いをじんわりと味わう初秋。

ワケあって聴き直している70年代のビル・エヴァンス、特にコアなジャズファンからは無視されそうな『The Bill Evans Album』（1971年 ジャケットでも損をしているが内容はある意味では『Kind of Blue』的）のフェンダーローズの響きすらも初秋を共に感じてます。

トニー・ベネットとビル・エヴァンスのデュエットを聴きながら丁寧にメイキングされたベッドでハルキくんと島村さんの「スタークロスト・ラブ」の残りを読みようやく日常を取り戻す

長い連休が残り一日
普段なら明日から仕事かぁ…とイジイジしてしまいますが、丁寧にベッドメイキングされシーツの感触も心地良いベッドの中で、最近のマイブームになっているトニー・ベネット。しかも、75年のビル・エヴァンスとのデュエットを低めにかけながら、塩釜・仙台で読めなかったハルキくんと島村さんの「スタークロスト・ラブ」の残りを一週間ぶりに読んでしまう。

考えてみると75年はフュージョンの全盛。45歳のビル・エヴァンス。48歳のトニー・ベネットには辛い時代だったかもしれないが、ハスキーな声と澄んだピアノの音色が好きで久しぶりに聴いてみた。TVやラジオの雑音から開放されてほっとしたせいか、マイルスとの運命的な出会いのような叙情はないが二人の寄り添うような姿がいつもよりもしみることに。

たぶんとしばらくの間には何があったのだろうかと思いながら、ギリシャで消えたすみれの話を今晩から読み始めている。

AMY 更生施設に入るよりはレイ・チャールズやダニー・ハザウェイの歌のほうが大事だワと歌ったエイミーのあまりにも悲劇的で残酷なあっけない死

ダニー・ハザウェイの「We're Still Friends」
映画を観てからこの曲が欲しくてサントラ盤を買いました...。そう教えてくれたアルバムを借りててみた。この曲はダニー・ハザウェイの名盤『Live』でもハイライト的な曲。コーネル・デュプリーのギターも泣いている。そして、気になり日曜日に四谷荒木町の帰りに有楽町へ。角川シネマ有楽町は昔ながらの映画館のいい雰囲気を残していた。エイミー・ワインハウスのアルバムやDVDも置いてあるなどの、シネコンにはない温かさのなかで、考えようには新譜といってもいいほどよく出来たサントラを聴きながら待っていた。

ドキュメンタリー映画を観ている間はいたたまれなくなるほどだった。才能があり、ジャズからきている独特のフレイジング、私生活をベースにした歌詞（映画を観るとよく理解できる）、60年代ポップでいて今風な格好。ドラッグとアルコールであっけなく死んでしまったエイミー。執拗で獲物に襲いかかるようなパパラッチとフラッシュにはいたたまれなくなる。よくまぁこれだけのものが手に入ったと感心するほどの画像が編集されジェットコースター的人生を浮き彫りにする。

ソウル＝R&Bというよりもジャズ
カラフルな名曲揃いの『Back To Black』よりもアーシーなファースト『Frank』に妙に惹かれる。憧れのトニー・ベネットとのデュエットでは支えられながらも見事な歌唱（Body and Soul：フィル・ラモーンがプロデュース）。前半の無邪気で屈託のない表情を覚えているだけに、突然の死に映画も沈痛。それでもエンドロールに生前のにこやかに笑っている写真らと共に「Valerie」が流れてきて、ようやく救われる気持ちに戻ることができた。サントラに収録された BBC Radio 1 でのライブは↑のフルバンドとは違ってギターとオルガンだけのシンプルなバックで歌の巧さを引き立たせていて素晴らしいバージョンだ。

こうして体は死んでしまったが、残された音楽＝魂は永遠に心のなかに光り輝きながら鳴り響いている。自分自身に置き換えてみると、果たしてそういうものがあるのだろうかと立ち止まって考えてしまう。

■AMY エイミー 公式サイト
http://amy-movie.jp/

Song of Today #95 今夜はブギー・バック / 小沢健二 独特の浮遊感漂う麻薬的なリズムはよくない？コレ？コレ、よくない？よくなくなくなくなくなくない？

1994年って
実はオザケン初体験。いやモチロン名前は知っていたしシブヤ系というジャンルがあるのも知っていたけど、これまでまったくもって接点なし。アルバム『LIFE』に収録の「今夜はブギー・バック」がリリースされた1994年はラテンにどっぷり、毎晩夜遊び午前様の日々。で、予備知識まったく無しで聴いたこの曲に今週はメロメロ。浮遊感漂う麻薬的なリズムにやや遅れ気味なヴォーカル、マービン・ゲイの「Sexual Healing」のようなベースライン、何故か寸止めされたような高揚感。思わずニヤリとするラップ。

もしかしてこれスライ？と
スライも聴き直してみたけど、本人のインタビューでスライの『LIFE』のジャケットからの引用と。
うん、納得。

憧れの茂さんの普通に話しているだけでのあのストラトのような音色に痺れてジンジンシてしたり、温かい長門さんと何十年ぶりに話したり楽しい対談はあっという間に終了

はっぴいえんど時代よりも
キャラメル・ママ〜ティンパン〜ソロへ憧れて
日本で一番好きなギタリストといえば鈴木茂。自叙伝的な本はこちらで紹介しましたが、もう三度も読んでしまってます。TOWER RECORD 5Fにあのパイド・パイパー・ハウスが期間限定でオープン。今日は同出版社から本を出したばかりの長門さんと茂さんが対談するというので夕方でかけました。

声に痺れる
茂さんの話し声ってもしかして初めてかもしれませんが、なかなか魅力的でしたねぇ。矢野顕子＋TIN PAN PARTⅠ&Ⅱ「氷雨月のスケッチ」そのものでした。これは矢野顕子のPARTⅢもしくはハックルバッグの再編成は観に行かないとダメかもと。対談はロスで作ったソロアルバムのことは割愛されてましたが、細野さんと同じ方向を向いていたけど違う方向に向いていった話など興味深い話満載の1:30でした。

・細野さんがトロピカルへ向かった時にどういうフレーズを弾こうか考えてしまった
・アレサの「Rock Steady」をきっかけにチャック・レイニー、コーネル・デュプリーなどを聴き始めて研究した
・『ALWAYS 三丁目の夕日』の鈴木オートはもしかして実家の鈴木モーターのことかもしれない
・はっぴいえんどはライブが下手といわれたけどPAもなく自分たちの声が聞こえなかったため（だろう）

そうそう、残念がら撮影録音禁止だったので写真はありませんが茂さんのブルー系でキメた姿は結構カッコよかったですよ。

Believe in Magic!
持参した『PIED PYPER DAYS』にサインをいただきながらちょっとおしゃべりもしました。もしかして40年ぶり。この温かい人柄が素晴らしい音楽を引き寄せるんだなぁと。同時購入していた『Best of Pied Pyper Days』というコンピレーションアルバムをきっかけに、本では本文の下に紹介されているアルバムを棚からひとつかみしていると新しい発見もたくさん。

ずい分前にシリーズ化されていた友人のコンピレーションアルバム、または愛と勇気に満ちた岡山から届いたサルサのコンピレーションアルバムについても色々と書きたいと思っているんだ。

『ミスター・ダイナマイト：ファンクの帝王ジェームス・ブラウン』を避けて通ることは出来ない

未公開映像満載の驚異のドキュメンタリー
かつてのバンドメンバーが語るJBの姿や初めて見る映像に度肝を抜かれて放心状態。全盛期と見られる60〜70年台の貴重な姿、何度観ても脅威のステップ、「Cold Sweat」でJBファンクが生み出される瞬間に鳥肌が立ちました。クライド・スタブルフィールドは実は「Funky Drummer」は好きではないとか、「Cold Sweat」のホーンリフはマイルスからのパクリだったとか各コメントも実に興味深いのでもう一度観たい。

UPLINKという不思議な空間
最後に行ったのが10年ぐらい前にキューバのドキュメンタリー映画。UPLINKの席はデッキ・チェアでゆったりとしてました。こんな風だったけ？と戸惑いも。壁にはDVDや本のコレクションが並べられていて、まるで自宅にいるようにくつろげるところがいい。こういう個性的な空間はずっと残して欲しいものですね。

■ミスター・ダイナマイト ファンクの帝王ジェームス・ブラウン（公開中）
http://www.uplink.co.jp/mrdynamite/