物事の判断を決める時の道標
いままで出会った本の中では、河村要助さんの『サルサ天国』『サルサ番外地』と並ぶほど個人的には最重要な本は『日本の喜劇人』だ。72年に手にしてから、77年『定本 日本の喜劇人』、82年『日本の喜劇人』(文庫本)、2008年『定本 日本の喜劇人』(函入り二巻)と幾度も加筆・修正されてきたのも必ず手にしていた。雑誌「新劇」の連載開始から50年の今年に『決定版』が刊行。
2017.4月に脳梗塞の発作〜闘病生活〜無事帰還(様子は『生還』にまとめられている)したときはどうなることかと心配をしていた。それでも週刊文春の連載も再開されホッとしていると、『日本の喜劇人』の決定版を遂行中と連載内にあって小躍り。アナウンスから半年後にようやく届けられ、感無量。
内容は『日本の喜劇人』と『喜劇人に花束を』を合わせた内容。もう何度読んだかわからないほどの2冊が、今の視線で加筆・修正。志村けんや大泉洋(これは意外だった)まで触れている『日本の喜劇人』最終章がうれしい。
実際に観たものだけを評価していくスタンスのあり方にはとても影響を受けた。個人的には、「スチャラカ社員」「てなもんや三度笠」「シャボン玉ホリデー」「日活アクション(小林旭&宍戸錠)」はほぼリアルで観ているので、それ以外はこの本で知ることが多かった。ロッパとエノケンで始まる小林信彦さんの体験談が伊東四朗まで流れ着く長い道のりをじっくり読むことはこの上ない喜びだ。
小林信彦プレゼンツ これがニッポンの喜劇人だ!
シネマヴェーラ渋谷で5/22〜6/4まで公開されている「小林信彦プレゼンツ これがニッポンの喜劇人だ!」はこの本の刊行記念。映画館の方にお伺いしたところ、映画館と小林信彦さんで相談しながらプログラムを決めたそう。
「映画館としては珍しいものを上映したいし、先生はこれは外せないとおっしゃるし...」
なるほど、それでこれは違うんじゃないの?と思うプログラムもチラホラあるし、これは小林信彦さんが選んだものとなんとなくわかってニヤニヤ。それでも、DVD化されてない「喜劇 とんかつ一代(7/21 DVD発売予定)」「三等重役」「ろくでなし稼業(つい最近からPrime Videoあり)」「人も歩けば」は必ず観に行きたい。
■シネマヴェーラ渋谷
http://www.cinemavera.com/index.html
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