この1ヶ月はほとんど音楽を聴かず来る日も来る日も志ん朝さんを聴き続けていました
今までの録音を前提としたホールとは違い、名古屋大須演芸場での肩の力を抜いた高座。マクラも、楽屋話、志ん朝さんの女性観、アクシデントで消火器が作動(火事息子)したり、体調が悪いとぼやいたり、普段の志ん朝さんの落語はこうだったのかと思わせるものばかり。緊張感はあまり感じさせないにしても、噺に入るとやっぱり志ん朝さんの世界。初めて聴く噺もありますが、その多くはこれまで何度も聴いてきたおなじみのものばかり。前の日の酒が残っていてトロトロっとしたやり取りが、次第にスピードアップしていく瞬間のスリル、昇りつめたところでストンと落とされるサゲ。
確かに、amazonで指摘されているように、録音は悪いしヒス音が目立ちます。でも、これに関してはロバート・ジョンスン等の戦前のブルーズを聴いいてきた耳にはさほど抵抗はありませんが、いかがでしょうか。むしろ、前にも書きましたが記録のためだけに残しておいたカセット音源がここまで蘇ったと思えばありがたいものです。
最後の三本締めに涙
三日間の公演が終わると、決まって三本締め。収録の順番は録音順ではないのですが、本編(30枚組)の最後は、10年目の最終日。「別の形で再び...」と言ってましたが、それもかなわず最後の三本締めが終わった途端、不覚にも涙が出ました。残念ながら公演を見ることなく終わってしまった志ん朝さんの大須演芸場での高座。こうして、発表されただけでも感謝したい気持ちでいっぱいです。
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