やっぱりページをめくるのが好き
ギャラクシー(勇ましい名前ですね)、ガラパゴス(間抜けな名前に呆れる)...次々と発表されるデバイスがiPadやiPhoneを追いかけています。シェアがどのこうの、互換性がどうのこうの、ビジネス系のニュース番組などでも盛んに取り上げられて、電子出版に乗り遅れたくない機運。いささか、うんざりしますね。のっぺりとした解像度の悪い画面(モノクロもある)や操作性の悪さ。どこかのいいとこ取りの本末転倒な操作性とデザイン。さらに、なんでもかんでもデジタル化というのにも抵抗感を覚えています。
好きな作家はやはり単行本で読んでいます。勿論文庫本の方が持ち運びも収納も楽なんですが、その本が出版されたそのままを感じながら読みたいものです。なんども読んでいるうちに本がくたびれてきたり、なにか挟んでいたり(線を引かないので)、前後をめくりながら前に読んだ記憶をたどっていく。装丁や紙質。挿入画やデザイン、そしてフォント(活字)。それら全てが本を読む楽しさ(喜びといってもいい)を生み出しているのではないかと思います。日本でも有数の貸出し件数を誇る図書館が身近にあり、雑誌や専門書も気軽にインターネットで予約~駅前で貸出返却が出来る恵まれた環境に住んでいると、本当に必要な本や資料性の高い本だけを手元に置けるようになります。
今、読み終えたのが『村上ソングス』。村上春樹が選んだ数曲の歌詞を自ら翻訳しコメントを入れる。そして、挿絵は和田誠。曲はジャズ~ロックまで幅広く、私が知らない曲もあり、これから調べる楽しみも残ります。なんたって、1曲目がビーチ・ボーイズの「God Only Knows」だもの。書店で手にしたときにドキっとしてしまいました。翻訳や(英語の歌詞も付いている)和田誠の挿絵を眺めながら、ぼんやりと音楽を聴いていると不思議に心が和らぎます。
失ってきたものの記憶が、今となっては逆に僕という人間を底から温めてくれているからだと思う。若いときにはそんなことが起こるなんて、想像もしなかったのだが、優れた音楽はいろんなことを音楽的に考えさせてくれる
なんて、フレーズ(言い回し)にも流石うまいことい言うなぁ...とため息をついてしまいました。
電子出版なら、ここにリンクを付けてiTunesで曲が買えるなんてことになるんでしょうけどネ。まだまだ、そこまできていない。
それに近いのは、友人から教えてもらったデビッド・バーンのラジオ。月替わりの選曲が絶妙で、先月はR&Rの歴史風、今月はブラジル。突然ジルベルト・ジルの好きな曲とかかかり、わぁ、と言ってしまった。暖かい太陽のぬくもりが入る部屋で流しっぱなしにしてゆっくりと本を読む幸せに浸りたいです。
Appleで作ったカードに「カードの手触り感がステキだった」とメールをいただきました。
やっぱり、その、なんともいえない手触り感を信じたい...ですね。
コメント
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