暗闇が深く蝙蝠が飛んでいるのを目で追いかけていると晩ご飯を知らせる母の声。鎮守の森の池にザリガニを取りに行った帰り、アンモナイトの化石を発見。自転車の荷台につけられた紙芝居、紙芝居屋が配る水あめを差し込まれた割り箸でグリグリ。人差し指と親指に付けて両指を付けたり離したりすると煙のようなものがフワフ。日光写真のぼんやりとしたプリントに虫眼鏡で太陽を当てると炎が出るほど熱くなる。下敷きをわきの下でこすり、その下敷きを頭の上にかざすと静電気で髪が立ち、それを歯でかむとジーンとして慌てる。初めての自分の机に入れるものがなく、ビー玉を入れていたら中でジャラジャラうるさかった。
そんな頃に出会ったのが怪盗ルパン
ホームズよりもルパンの方が好きだったのは、ママボリンケンも一緒ですが、皆さんはどうだったのでしょうか。新刊が出るたびに小学校の図書館にいりびたり。学級委員長とかは勿論無縁でしたが、小学校五・六年は図書委員をしていたくらいですから、好きだったんでしょうね、図書館が。いまでも充実した設備が日本一と言われる市内の図書館には毎月1回は行くようにしています。
そのルパンが当時のままに復刻
南洋一郎の訳、奈良葉二の挿絵もそのままに、当時のままで復刻されたと聞き、二冊手に入れてみました。ロマンチシズム溢れる『奇巌城』、謎解きにホームズまで登場する『813の謎』。もうずいぶん前に、文庫本でオリジナルに忠実に訳したのを読んでいましたが、こちらは、『奇巌城』は別の話をくっつけたり、訳は子供向けに分かりやすくなっています。でも、命令されたルパンの部下が「がってんだ、親方」とか返事しているのを読むと、なんか時代を感じさせます。『奇巌城』の尖がった城と暗号、『813の謎』でのナポレオンの部屋での時計のトリック。覚えていたんですね、これが。謎が解けるまで二日で一気に読んでしまいました。
それにしても、懐かしいですね。裏表紙の裏に図書カードが差してあって、貸し出しをお願いするときはそのカードに名前を記入して提出。本を検索するときは、引き出しにインデックスカードがファイルされていて調べられるようになっている。薄日の入る図書館で本の匂いに包まれて、本を読んでいるうちに眠くなっていく。図書館のもつぬくもりっていつでも好きです。
コメント
コメントフィードを購読すればディスカッションを追いかけることができます。