ピーター・バラカンのわが青春のサウンドトラック
レコードコレクター誌に連載していた話をまとめたのがこの『ピーター・バラカンのわが青春のサウンドトラック』。新たにアルバム紹介も追加されてより分かりやすくなっています。彼の生い立ちとロックの歴史がほぼ同時に推移しているので、ロック史としても楽しめる内容です。
ビートルズやストーンズは勿論、キンクスやヴァン・モリソンも紹介されて、英国人またはそこに育った人にしか分からない「空気感」も伝わってきます。60年代前半のロンドンってこんな感じだったのね、とか。今よりもはるかに情報が少ない時代に果たしていたラジオと街のレコード屋の役目。自分で努力しないと分からないことが多かったけど、幸せな時代だったのでしょうか。
私の場合は、ロックに目覚めた頃は仙台に住んでいて、ニューミュージック・マガジンの発売を心待ちにしていたり(入荷が不安定だった)通っていたピーターパンというロック喫茶からの情報を頼りに、ベアズビル周辺やバーバンク周辺の音楽を集めていました。サルサに目覚めた75年ころも、情報源はレコード屋で眺めるジャケットでしたね。あの何ともいえないひなびた雰囲気とジャケットから伝わる強烈な自己主張や諦め。手作りのロゴのいなたさ。今では望めない世界ですね。
ひととおり読んで、気になる部分を再読したりもしています。ジミヘンのデビュー当時の衝撃、ザ・バンドの影響、マイルスの『In A Silent Way』、『Live Dead』とデイヴィッド・クロズビーのソロ...つど、聴き直したりして。
ピーター・バラカンはミュージシャンの表記もなるべく原語に近い表現をしたり、選ぶアルバムもこだわりがあり共感できる人です。ロック以外もソウルにも好きで『魂(ソウル)のゆくえ』もおもしろいです。89年に発刊されたものを全面的に改訂増補しています。専門書というよりもまずはソウルに触れて、その中から好きなソウルを見つけるために役立つと思います。
そんなワケですから、ここ一週間はレイ・デイヴィスのソロとアレサ・フランクリンのゴスペルライブばかり連続で聴きまくっています。いいですよ、夜明け早々の静かな道をアレサのゴスペルを聴いていると、一日頑張ろうという気になるんですから不思議です。そして、コンフント・クラシコのコロによじれた後に、小さんの落語。そんな感じの朝が多いですナ。
古い音源を繰り返し聴いているのですが、ああ、でも、やっぱり、ここいらで一発後ろから頭をガツンと殴られる、または、恋愛にも似てそのことをのべつ考えて落ち着かなくなる。そんな新しい音楽に出会いたいのも、本音ですね。(...といって、ニック・ロウのDVD付きベストも気にしていたり...)
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