多作のナカヤマ氏
ナカヤマさんといえば増版するたびに厚く重くなる『マイルスを聴け』が有名ですが、ジャズ以外にも『〜を聴け』シリーズがあります。無節操といえばそうなんですが、ついつい手にとってしまうんですね。《ク〜ッ、たまらん》というフレーズに誘われて独特の論調には賛同したくなることも多いです。(まじめなジャズ評論家よりもはるかに的確な時が多い)
ビートルズ関連の著作も多いナカヤマさんですが新作『ビートルズの謎』も興味深く読んでみました。中でも、ラバーソウルの話には、なるほどと唸ってしまいました。『ラバーソウル』に感銘を受けたブライアンが『ペット・サウンズ』を完成させ、それを聴いたビートルズが『リボルバー』『ペーパー』を完成させる。そして、ブライアンは未完の『スマイル』と共に沈黙してしまう。ロックの歴史として有名な話なんですが、それがオリジナル盤ではなかったとしたら...。
聴いていたのは曲順も違うもの
当時の米国盤はビートルズでさえ、オリジナルフォーマットでのリリースではなく、キャピトルで2枚のアルバムが3枚に水増しされてリリースされていました。オリジナルから2曲減らし、オリジナル『ヘルプ』から2曲と差換え(差換えられた曲はA面B面のトップに配置)。ブライアンが聴いた『ラバー・ソウル』が米国盤だったために、そのイメージが異なっていたとしたら...。
A
1.I`ve Just Seen a Face
2.Norwegian Wood (This Bird Has Flown)
3.You Won't See Me
4.Think For Yourself
5.The Word
6.Michelle
B
1.It`s Only Love
2.Girl
3.I'm Looking Through You
4.In My Life
5.Wait
6.Run For Your Life
フォークロックとして聴いていた...
ブライアンは、米国盤『ラバー・ソウル』を、ディラン、バーズやS&Gなどの当時流行っていたフォークロックと感じたらしい。私もiTunesで並び替えてみましたが、『ヘルプ』からの2曲もフォーク・ロック的で、全体的にそんなムードが漂っています。『フォー・セール』の冒頭3曲もアコースティックなサウンドがとても好きで(実は再発見)良く聴いていますが、この頃のビートルズは(ディランの影響もあり)フォーク・ロック的に思えます。iTunesで並び替えたプレイリストを聴いているとサイケデリック直前の静けさすらも感じます。『ペット・サウンズ』のセッションのスタートが12弦ギターが眩しい「Sloop John B」だったのも、これで分かってきたような気がします。(そういえば、Googleで検索すると、もう3年前にBLOGに指摘している人がいるんですね)
誕生日の朝、静かに降る冬の雨をぼんやり眺めながら繰り返し聴いています。
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