今日で仕事納め
フ~、一年間ご苦労様でした。ママボリンケンは一足先に帰省しているので、まぐろのづけを肴に熱燗。「二番煎じ」「富久」「芝浜」を志ん朝さんのDVDで見ました。なんと贅沢な年末。
二番煎じ
火の用心で見回る旦那連中の描写がおもしろく、「火の用ぉ心~」の声のかけ方にそれぞれ嗜好が凝らしてあって引き込まれます。徳利から出るのが酒で、土瓶から出てくるのは煎じ薬。「二番を煎じておけ」というサゲも効いています。決まってイノシシの肉を食べたくなるのですが、昔奄美大島でシシ焼きを食べ過ぎて全身蕁麻疹が出たのでやめにしておきます。でも、葱を食べるとき、熱い心が出てきてやけどしそうになるのは、よくある話でしょ。
富久
千両が当たった富くじを巡るスラップスティック。久蔵が火事の見舞いに駆けつけ旦那に酒の席でのしくじりを解いてもらうが、うれしさあまり酒を飲みすぎ。酔うほどにおかしくなっていく。観ている(聞いている)こちらまで酔ってきそうな様。酔ってクダまいていつのまにか寝ちしまう。そんな奴がいたらちょいとメイワクですが、たまにはそんなことしてみたいです。(たまにですよ)
芝浜
酒でしくじり客が離れていった魚屋。浜で拾った財布を奥さんの機転で夢と言い含められ、改心。三年後の大晦日には元よりも裕福な生活を迎えるることができている。「よそう、夢になるといけねぇ」、何度聴いてもホロリとしてしまいます。除夜の鐘を聞きながらの夫婦の会話もいいのですが、数週間振りで仕事に出かける夫の仕事の準備を済ませている奥さんのてきぱきした姿。まるで、我が家のよう。そう、三木助の夜明けの浜や空の描写もシビレます。この風景を切り取る筆つかい、馬生の「目黒のさんま」でとんびがピーと飛んでいる姿を語ったのとあい通じるように思えます。
そして今、読み始めたのが『談志絶倒昭和落語家伝(立川談志 写真田島謹之助)』 。私が生まれた頃に寄席で田島謹之助氏が撮った2000枚以上の写真に談志が愛情のこもった文章を添えていく。これが、実に味わい深くて泣けてきます。昭和落語の全盛時代の26人の噺家の生き生きとした姿(全員が故人)に心打たれます。落語の世界は江戸~明治の幻の世界なら、ここに収録されている世界も同じように幻の世界。そのに場に居ることができなかっただけに余計に憧れてしまいます。そして、志ん朝さんをきっかけとして始まった私の落語熱。馬生~志ん生、そして文楽、圓生と(図書館から片っ端から借りて)手を広げてきましたが、まだまだ聴きたい人がたくさん出てきます。談志ってなんとなくちょっと避けているけど(取っておきたい)、志ん朝さんへのこのコメントを見たりすると、やっぱりいい奴なんだなぁ...。この本でも、馬生と志ん朝さんについての語りは、ホロリとさせられます。
ああ、ろくでもない年末年始番組を消して寄席に行きたい気分になります。
コメント
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