とらえどころのない姿
トッド・ラングレンには様々な顔があり、とらえどころのないというのが一般的なイメージじゃないかな。美しいメロディー、突然の変速リズム、宅録、圧倒的なボーカルとギターテク。スタジオの裏方として時間と予算を守る手堅さ。反面、プロデュースにおいては相手からクレームを受けることも(XTCは結果的にはOK)あるが、とんでもないヒットも生み出す。
ナッズを解散後、ベアズヴィル・スタジオのエンジニアとして再スタート。昔は、ソロ1stのANPEX版を必死に探していたりもしていた。1988年に一気にCD化されて安堵したものの、全部を揃えられず日本独自編集の『Singles』ばかり聴いていた(ジャケットは河村要助さん)。それ以降はほぼリアルで追いかけ、来日公演も何度か観に行っている。
インディビジュアリスト
構想~執筆20年の自伝、分厚く重く全423頁。時系列に見開きで一つのテーマ。トッド・ラングレンの秘密を紐解くにはこれ以上のものはない内容。音楽との出会い、プロになるまで、ナッズでのデビュー、ミュージシャンとの交流、プライベート、パティ・スミスとの出会い、ピアノで作曲するきっかけを作ったローラ・ニーロの衝撃...。時には辛辣に、時には下世話に、自由に語られる姿にただもう圧巻。好きだった(今でも好き)アルバムを順番通りに聴きながら、冒険のような自伝を読み急がないように噛み締めながら読み終えた。
9年前に出た、アルバム単位でよりスタジオワークに詳しい『トッド・ラングレンのスタジオ黄金狂時代 魔法使いの創作技術』を再々読しながら、さらにトッド・ラングレンの世界に埋もれている。
コメント
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