ラストからエンドロールでつい涙
家族を顧みず仕事一筋に生きてきた一人の男。コカインの運び屋として再スタートするところから物語が動き始める。広大なハイウェイを運転中ラジオに合わせて鼻歌。「Motre Today, Than Yesterday」は歌詞が物語の伏線になっている。クンビアのライブ(劇中ではポルカと言っていたが)、メキシコでコカイン密輸の親玉(アンディー・ガルシア)に接待されたパーティーのラテンポップス、ハイウェイではカントリー。音楽に誘導され無駄のないストーリー展開が行われるところも流石だ。全体のスコアはキューバ出身のアルトゥーロ・サルヴァドル。なんでも、アンディー・ガルシアの紹介だったらしい。
運び屋で儲けた金の使い方もひねりや遊び心いっぱいだ。末期癌で余命幾ばくもない妻を見舞い、最後まで寄り添う静かな時間に心打たれてしまった。捜査網に捕まり(捜査官との交流にもお互いの人間性)、裁判では自ら有罪を認め刑務所へ。ラストは花を育てている場面でカメラが静かに引いていくとその意味や場所が分かり、トビー・キースが歌う意(Don’t Let The Old Man In)
老いを迎え入れるな、もう少し行きたいから
老いに身を委ねるな、ドアをノックされても
が流れるあたりでじんわりと泣けてしまった。
ここ数ヶ月、いや数年間考えていたことにある種節目を迎えた日の遅い午後に見た『運び屋』が特別な日を一段と感慨深いものにしてくれた。
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