三つのアイディア
思いがけない三つの選択がこの曲を特に印象的にしている。一つ目はキャロル・ケイのイントロでのシンプルな六つの音。出だしはベースだけ、その後もう一度だけ繰り返されるフレーズがとてもいい。二つ目は間奏。実はキャロル・ケイのベースを借りてグレン・キャンベルが弾いてみた。来る日も来る日もクルマで電話線をメンテナンスしている男の孤独。聞こえるのはノイズ混じりの電話での会話。そばに誰かにいて欲しいと思いながらも毎日孤独な作業が続く。乾いた音色がそんな男の心情にぴったりだ。
スターマンは実はウィチタ・ラインマンだったのではないかな
三つ目は、作者のジミー・ウェブ自らのアイディア〜演奏でパイプオルガンでを繰り返されるあのフレーズ。それはまるで電話線を駆け巡るシグナルのように聞こえる。それってボウイの「Starman」のあのフレーズではないかと気が付き、もしかしてスターマンは実はウィチタ・ラインマンだったのではないかなと思い始めていいる。
キャロル・ケイが弾いているあの曲この曲
硬質な音色とフレーズで聴いただけですぐ分かるキャロル・ケイのベース。実は、モータウンの有名曲も手がけているらしい。本人のサイトに紹介されていてように、地元デトロイト録音されている曲は実はLAで録音されていてキャロル・ケイが弾いていることが判明している。レッキングクルーとのセッションと合わせると膨大な数になる。↓のリストを眺めているだけでも楽しくなる。
http://www.carolkaye.com/www/library/basshits.htm
この曲で念願のスターの仲間入りを果たす
曲と歌詞がよくて演奏もいい。そして何よりも歌声が素晴らしい。誠実さが伝わるような、ちょっと疲れているようなやるせなさもいい。グレン・キャンベルは念願の全国ポップチャートで3位になり(カントリーでは1位)、セッションギタリストからスターへの道を歩み始めたのだった。
名曲なだけに様々なカバーがあり、変わったところでセルメンのも捨てがたいけど、個人的には、原風景的なサウンドのジェーム・テイラーのカバー、ジミー・ウェブとのデュエットも実に味わい深い。
コメント
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