淡々とした日常描写
瀬戸内海の温暖な気候。広島に何年か仕事で住んでいたため何度か行ったことがある呉。心の中に残っている風景は生まれ育った仙台でも呉でも同じように思える。丹念にかつ精密に描かれる日常。絵を描くことが大好きなすずを通して手にとるような感覚にまず驚き引き込まれた。
コトリンゴさんとのんの声
生命を吹き込こむ二人の声。ふわりと映画の世界に誘うような冒頭のコトリンゴさんの「悲しくてやりきれない」がまず素晴らしい。この曲は2010年『picnic album 1』の収録されていて大好きなバージョンだけにちょっとウルウル。エンディングの「たんぽぽ」ではKIRINJIでも活躍中の玄さんのペダル・スティールにとけ込む。表情豊かなのん=能年玲奈(はやく能年玲奈の名前が使えますように)の広島弁も生き生きしていた。
残酷さは今の方がより巧妙
原爆投下の瞬間、屋根瓦がずり落ちる音。すずが右手を失う引っ掻くような感覚、カラフルな対空砲の爆発雲、段々畑から見えてくる戦艦大和。空襲後に「呉のみなさ〜ん、頑張ってください」と放送されるが、これを「被災地のみなさ〜ん、頑張ってください」と日常的に放送される今と変わりないく、より巧妙かつ残酷になっているので気をつけないと…。
■この世界の片隅に
http://konosekai.jp
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