マイルスよりも人気のあったチェット・ベイカー
ジェームス・ディーンとも比較されるような存在感とルックス。ストレートでケレン味のないトランペットの音色と甘い歌声。歌唱法がボサノバに影響を与えたって本当だろうか。その後ジャンキーになって、それが原因でいざこざに巻き込まれてしまったのが1970年のこと。映画はちょうどいざこざに巻きこまれた時から始まり、再びジャズシーンに返り咲く1973年までを描いている。
まるで本人にそっくりな
ちょっとびっくりするほど似ているイーサン・ホークがやるせないほど。支えるカルメン・イジェゴがとてもチャーミング。ヘロイン、コカインで身を滅ぼしたミュージシャンは数多く才能あるミュージシャンを喰い物にしていく構図=やり口は今も昔も変わらない。
チェット・ベイカーやビル・エヴァンスはある意味では長生きしすぎたのだろうか。ブルース・ウェーバーの映画でもチェット・ベイカーのこと触れていたけど、やっぱり個人的にはマイルスと競り合っていた50年代半ば頃の眩しさが好きだ。
映画で気になったのがマイルスの扱い
1970年~1973年は既にエレクトリック時代に突入していてスーツよりもスライ好きの彼女の影響でアフリカンな服を着ていた思う。N.Y.のバードランドという有名なジャズクラブでの出合いを考えるとスーツ姿というのが無難なのかなとか細かいところを気にしてしまった。
映画のパンフにも引用されていたけど『ポートレイト・イン・ジャズ』(和田誠さんのイラスト+村上春樹さんの文章)の冒頭のチェット・ベイカーへの記述が色んな意味で奥深いので、映画を観た後に気になる人には参考になると思います。
再起をかけたスタジオ録音、行き場がなくなり海辺に留めたままのVWワゴン車で暮らす二人のシルエットにため息。スタジオでの緊迫した情感も含め見どころが色々あり妙に余韻の残る映画だった。
■ブルーに生まれついて
http://borntobeblue.jp
■Pacific Jazz
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