久しぶりにいい映画を観た
エンドロールが終わり、そう一人静かにため息。圧倒的でかつ静寂なケイト・ブランシェット。ハットするようなルーニー・マーラの美しい裸体。パトリシア・ハイスミスが偽名で発表した小説を丹念に映画化したのはトッド・ヘインズ。初めての監督ですが、二人の言葉をかわさなくても通い合う心や移ろう気持ちなど、何度もドキドキさせられました。
全てのシーンが艶やかで切ない
特に好きなシーンは、ルーニー・マーラがおぼつかない手つきでピアノを弾くあたり。この曲(Easy Living / Billie Holiday & Teddy Wilson & His Orchestra)をクリスマスプレゼントに選んで、移動中のモテルでケイト・ブランシェットがそのアルバムを「Again」というシーン。
行き場を失うやるせない情感が漂う。ケイト・ブランシェットのマニュキュアが赤からフレンチネイルへ変化し、ケイト・ブランシェットとルーニー・マーラの関係がズレていく。この辺は、う〜ん、うまいなぁと再び溜息。そういえば、「サンセット大通り」を映画館で見ている場面があったけど、封切りが1950年だから、時代背景もこのあたりだろう。レコード屋でアルバムを選ぶ風情も良かった。
どんな場面でも心を打つ
豪華な企画やCGとか使わなくても、心が通う映画を作る。これは、音楽でも、キャラクターのあり方でも、食に関することでも、なんでもいえることなのかな、とあらためて考えてみたい。
■CAROL(U.S.版の方が内容・デザインがいい)
http://carolfilm.com
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