お客と会話しながら修行するという言葉
教えていただいてから数ヶ月経過してようやく訪れた大塚「串駒房」。日本酒の聖地と呼ばれる「串駒」の姉妹店。奇しくもマスターにもお会いできて貴重なお話を伺うことができました。なかでも「お客と会話しながら修行する」という印象的な一言。黙々と仕事を続ける厨房、お客の様々なリクエストに的確なアドバイスが出来る若い衆(わかいし)。なるほどそういうことだったのね、と気がつくのはお店を後にした時でした。
日本酒の素晴らしさを導いてくれるとある方の
美しいまでの流れ
まろやかなふくらみを指でなぞりながら少しずつ押しきれない思いを少し我慢していると時折襲ってくる小さなエクスタシー。その繰り返しに思わず自分でも恥ずかしくなりそうな程に声をあげてしまった。それが静まるまでもうちょっと待って下さいと小さく呟いて髪をかきあげて...。選んでいただいた見ず知らずのお酒たち、それに合わせた料理の順のどれもこれも特別な引用。
ゆったりとした酔いにもたれているだけの、もうなんとも言えない幸せ感。本店は座敷で鍋、こちらの方はカウンターで季節のおでん。おでんが食べたかった私の声が聞こえたみたいで、後半はおでん中心に。大皿にまとめてではなく、ちゃんと小鉢に分けて一品ずつ出てくる演出も憎いじゃないですか。ひっそりとした昆布だしと共に、大根(とろろ昆布がのっている)、初めてのトマト(甘酸っぱくておいしい)、里芋(田楽みそがのっていてホクホク)、おでん好きにはたまらないです。前半に出てきたきりたんぽみたいなお餅、好物のとうふの味噌漬けも合わせて堪能。
主役の日本酒
実はそんなに詳しくなくて知ったかぶりをせずに、色々な蘊蓄を聞いては一口、感じたままを話し合う。静かな口当たりとふわりと抜けていく香りを楽しんだり、常温に戻ってきて味のわずかな変化を知ったり、ラベルの意味を教えてもらったり。気のおけないお付き合いの中にもある種の遠慮もある関係にも似て、ああこうして日本文化というのを少しづつ身につけていく喜びも感じていました。
①十六代 七重 二十貫(山形
②天明(福島
③東洋美人(山口)
④而今(じこん) 九号酵母火入れ 特別純米(三重
⑤開運 純米吟醸(静岡)
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