電子出版真っ盛り...なのかな?
iPadを手にした頃(昨年デビュー)は、やっぱり電子出版だよ!なんて周りの人に吹聴して回ったり、関連システムの人ともずいぶんディスカッションしていましたが、なんかこのぅ、個人的にはそうじゃないんだなぁ。自分の好きな雑誌が電子出版化されなくて、目ぼしいのは情報系のものばかりで手を出していないのも原因でしょうか。
それよりも、やっぱりジャケットが欲しいよな、というのが大きな理由と思う
収納場所や持ち運びを考えると文庫本の方がいいのですが、その小説が出版された時の手触り感も本を読む楽しみとして思うと、オリジナルで読みたいですね。二十年振りに再読した『世界の終わりとハードボイルド・ワンダーランド』は、箱入、表紙がピンク。「世界の終わり」「ハードボイルド・ワンダーランド」の二つの話がシンクロしながら進みますが、章が変るたびに挿絵も変ったり、分かりにくいけど味のある地図も凝っています。栞(※)のピンクで、読み終えるとこのピンクの意味もわかってくるというものです。
最近、読み返しているレイモンド・カーヴァーの短編集もオリジナル全集。ケースを開けたときから世界観を表わしている素晴らしい装丁は和田誠の仕事。イラストも奥が深く、訳者村上春樹との相性もとてもいいんですね。今は、ライブラリーシリーズで出ていますが、こちらの装丁・写真も和田誠なんですね。気に入った本は何度でも読み返したいし、その気にさせるのは、データや便利さではなく、手触りや紙の折れ目や開いた跡のあるページなんですね。
こちらで教えてもらいましたが、VOGUEの4月号に村上春樹さんのインタビューが掲載されています。ベルリンを訪れたときのものですが、写真もモード風だし内容も切り口がいいので、ファンの人に手にとって欲しい内容です。レモンド・カヴァーの後は何を読もうか考えていますが、「1Q84」を一気に再び読んでみようかと思います。(3/4記)
※しおり=スピン 通常対角線の長さ×1.5倍の長さと定められている
※追記:「東京に原発を!」を緊急で読み返しています。
1986年に書かれた話が、今の日本の今を現し、日本の未来を予言していると思う。故野坂昭如の解説から、世間が便利な生活を求めるという、勝手に非人間的仕組みを押しつけた挙句の、たしかに存在する合意を背景として、しゃにむに原発を推進する、いや強制する国家の意志を考えてみよう...。御用学者と相づちばかりのキャスター(というよりもアナウンサー)が喋る言葉よりも、この本に書かれていることが、どんなに真実に近いことか知って欲しいものです。
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