20ヶ月続いたプロジェクトの終焉
2008年後半にオファーをいただき2009/2からスタートしたプロジェクトが今日終わりました。寂しいような、何故かホッとしたような複雑な気持ちです。自分に出来ることがもっとあったのだろうか、あの局面での対応は正しかったのか、人選や役割分担はこれで良かったのだろうか...。厳しい条件でも懸命にプロジェクトを推進してくれたスタッフに感謝したいです。条件が合わなくて突然辞めたり、働いていても不平や憤りもあったのでしょうが、今のスタッフに固定して約1年。個性を活かした組織作りが出来ていたと思います。そして、このなかから個人的に学ぶことの方が多かった20ヶ月と思っています。
木枯らしと冷たい雨
キースジャレットがクラシックと向き合うが、演奏家や取り巻く環境に幻滅してしまう。「音楽」ではなく「音符」を追いかけるだけで、音楽が生まれてくる(生まれた)ワケではない。閉篭もりがちになっていたときに、自分自身の中に湧き上がる祈りや精霊に揺り動かされて、自宅のスタジオで録音されたのが『SPRITS』。ここには、裸のキースジャレットの姿が聴こえてきます。「音楽とは何か?」という問いかけ。アルトフルート、リコーダー、パーカッション、ピアノ、その他の管楽器を全て自分で演奏した多重録音。カセットに録音された音源をいとおしむようにECMへ持ち込むときも、肌身離さず移動していたそうです。商品として時代と寝ながら拡散していくポップスにもなにかしらの真理があると思いますが、音楽家が音楽と正直に向き合った音楽ほど心打たれるものはないと思います。『SPIRTS』以前と以降では、キース・ジャレットの姿勢にも変化が現れてきたのではないでしょうか。
生きることをそのものを問題にしているのではなく、生きることのまわりにあるものを問題にしているーSPRITSへのインタビューから
季節の変り目は、たいがい、緩やかに推移し気が付いたら次の季節になっている。そう思っていると、ここ一週間で真夏から初冬へ、木枯らしと冷たい雨、そして重く沈んだ空。二三日前、大手町の地下鉄出口で見つけた銀杏の葉は色ずく前に落ちていました。欧米では紅葉がないのは、急に気温が下がり一気に葉が落ちるからだと、何かの本で読んだことがあります。プロジェクトの終わり、直属の上司も異動、来月から自分自身のまわりの急な変化があるけれど、週末に色々考えておこうと思います。
コメント
コメントフィードを購読すればディスカッションを追いかけることができます。