folk-electronic-gospel
ブライアン・イーノの「Bloom」に虜になって以来、イーノから触発され続けています。ライナーとSound&Recording誌のインタビュー、図書館から借りている二冊の本等が解き明かすヒントにもなりますが、聴き込むとサウンドコーディネートされた様々な拡散しては収縮する音の広がりや断片が統制され、それでいて偶然性を帯びるサウンドを感じています。そして、『Remain In Light 』の頃は、硬直して痙攣しているイメージだったバーンは、04年のソロ・アルバム『Grown Backwards』を経て、ボーカリストとしても、一段とスケールアップしています。表面的にはごく自然な歌い方に毒も入っていますが、ストレートに唄っています。
《レコードという形態が、もう全然好きじゃないんだ。最近では、例えばゴスペルのように、何らかの場所を伴った音楽により一層興味がある。聞き手は、目当ての音楽を体験するためにある場所に赴いて、そこの一部にならなくてはならない音楽だ。そこで人は、全く異なる社会的・音響的な設定の中に入る。その音楽を包む、完全な背景が存在する。ただ部屋に座ってレコードをじっと聞いているのとはまったく違う世界だ。83年ブライアン・イーノインタビューより》
二年前『My Life In The Bush of Ghosts』のNONESUCHからの再発をきっかけとして連絡を取り合っていた二人の27年振りの共作『Everything That Happens Will Happen Today』は、二人が回帰している音楽=通俗的になる前のフォーク、ゴスペル、カントリーを素材としています。音楽の背景にある知性を潜在的に再生しているように思えます。Sound&Recording誌のインタビューではゴスペルにも言及し加えて「Surrender」という言葉で《天候、生命現象、地理・地学要因、その他多くの要因になるがままにされていた。力を持たない人間にとって、流れに身を任せてうまく行き先を見つけることしか選択肢は残されておらず「委ねる」ということを学ばなくてはならなかった。これこそが自発的な「委ねる」行為だったと私は考える》
(探しているのは)
Home 物事がいつも動いている
Home だからここに戻る
Home 僕の世界が真っ二つに割れる -Home
ある晴れた日
小さく暗い部屋で待つ
面と向かい探し、沈思する
人は粘土でできていても
全てを変えることができる -One Fine Day
イーノがバックトラックを作り(Logic)、バーンが歌詞を書きボーカルを入れる。極めてコンテンポラリーな作り方なのに、手触りはとても温かく、前向きな音楽になっています。8月にネット配信から始まりCD化。ジャケットも素晴らしいです。ライナーで、バーンが《希望に満ちて励みになるトーンは、音楽の中に埋まっている》と記していますが、まったくその通りと思います。
1曲目の「Home」はどことなくS&G風なんですが、実は06年にポール・サイモンの『Surprise』にSonic Lanscapeとしてクレジットされていたんですね。そんなワケで、イーノ・バーン周辺の音楽も含めて、今回の二人の新譜にぞっこん参っています。上の画面をクリックすると全曲フルで聞けますので、是非試してみて下さい。時折ブライアン・ウィルソンにも共通する世界が広がります。
そうそう、最後のトラックにプロモーションビデオがありますが、二人の姿や部屋が素敵すぎです!
nakashimaさん
コメントありがとうございます。
『Everything That Happens Will Happen Today』や『Bloom』(iPhoneのアプリ)をキーワードにして、デビッド・バーンやイーノを再発見している毎日です。トーキング・ヘッズの3CD+DVDのオムニバス盤とかも聴きなおしています。意外と『Remain In Light』以前のサウンドにハッとすることが多いです。
来日コンサート行かれたんですね。私は、病み上がりで体調万全ではなく行けなかったんですが、行けばよかったと今でも後悔しています。トーキング・ヘッズ~ソロとまとめて聴いてみると、デビッド・バーンの音楽性って一貫しているように思えます。その時代によって表現方法は異なりますが
リズムとメロディーをぐいぐい引っ張っていくギターとボーカルの力強さを感じます。そして、イーノのサウンド処理も、立ち上がりとその音が消える直前に違う煌きを漂わせているところ、流石だなぁと感心しています。
nakashimaさんのサイト見ました。nakashimaさん『Everything That Happens~』のジャケットの件、私も同感です。なんか不思議な佇まい。今、思い出したように見ている『ツインピークス』の世界観(ちょっとうまく説明できないんですが)をも感じます。そうそう、サイトのトップページとか好きですよ。...これからも、よろしくお願いしますネ!
投稿情報: Borinquen | 2009/02/05 12:12
ぼくも”Everything That Happens Will Happen Today”には、去年からホントに参ってます。
素晴らしいの一言ですね!全く同感です。Casa De.....さんの記事、とても参考になりました。
ちょくちょく拝見させてもらいますので宜しくどうぞ!
それと1/23の”なんばHATCH”でのコンサートも凄く良くて、いまだに高揚感に満ちた毎日です。
断片的になりますが、久保さんのhttp://www.bounce.com/interview/article.php/4827 や
岡村さんのhttp://www.bounce.com/article/article.php/4830 も凄く参考になりました。
あと、文章がヘタな、ぼくの飛んだ記事(上記URL)ですけど、厳しく批評していただけると
今後の反省材料になるのですが。。。
投稿情報: toshio nakashima | 2009/02/04 19:34