ようやくまとまって見ることが出来た写真たちにじっと見つめられて
NHK日曜美術館「写真する幸せ ~植田正治・UEDA-CHOの秘密~」を見て以来、図書館で「植田正治の世界」「カコちゃんが語る 植田正治の写真と生活」を読んでいました。前者は、植田正治の生きていた山陰の事も詳しく紹介されていて入門編としては最適な内容。後者は、長女のカコさんが綴る植田正治の素顔。共に写真満載ですが、やはりどうしても本物を見たくなって、東京ステーションギャラリーに行ってきました。
屈託のない子供たちの表情、弓ヶ浜(砂丘)で撮影された家族、一体どうやって撮ったんだろうかと考えてしまう「砂丘シリーズ」。ほとんど境港付近から出ることなく描かれた写真をまとまって見ていると、何故か心が安らいで。ああ、もう一度見たいと思い、会場を三往復したほどです。「海浜スタジオ」と呼んでいた砂丘のことを次のように言っています。
黄色というよりも淡いオレンジの砂
コバルトブルー空
それはモノクロームが歯痒い位美しかった
童暦(わらべごよみ)ってなんて
きれいな日本語の響きなんだろうか
お面を付けていてもなんか嬉しそうな表情も伝わってくるよう。桜を抱えた少年の笑顔に続く道、ボーダー柄のセーターを着て軒下で見つめる少女、雪山を背景に静かに立ち止まる父子(父の手には模型飛行機)。季節のなかで自分らしく生きようとしている閉じ込めてもこぼれてくる躍動感や遠くに聞こえてくる何かの音(祭のお囃子だったり山から降りてくる冷たい風の音だったり)もじんわりと伝わってくるようです。
もうずいぶんと昔の話ですが広島勤務時代は山陰の担当
広島を出発して鳥取から出雲まで国道9号線を営業車で走っていました。米子〜境港も月一度のパターン。友人の子供の名前が出雲、いただいた松江のあご野焼…で気にしている山陰。当時と違った今の視線で風景を見たらどんな気持ちになるか知りたくて、心のなかで山陰に行きたくなっています。色々な温泉地を訪ねて、最後に写真美術館に行くコースを妄想してます。
場内はもちろん撮影禁止。ギャラリーはとても広く、階段で上下したりもします。その螺旋階段の照明がきれいだったので一枚だけ写真を撮りました。そして、1/5まで開催しているので、もう一度(いや二度ぐらい)訪れたい。
■東京ステーションギャラリー
http://www.ejrcf.or.jp/gallery/
■植田正治写真美術館
http://www.japro.com/ueda/index.html
コメント
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