昭和に生きる
与勇輝さんの展覧会に行ってきました。五年ぶりの開催だそうですが、私は初めて見ました。今回のテーマは昭和を生きる子供達です。私は戦争が終って何年も経ってから生まれましたが、町のあちこちに戦争の余韻が数多くありました。幼い頃に見て感じたことが突然蘇りハッとする。本の中からだったり、映画だったり、空を見上げた時だったり、歌を口ずさむ時だったり。見て聞いた時よりも、思いがけず感じる何か象徴的なこと。この子供達もどこへ行ったのだろうかと考えながらじっと見入るばかりでした。
会場では作品が生まれる過程がDVDで紹介されていました。
①粘土で型を作ります
②型に石膏を流します
③石膏を二つに割り内側に糊を塗ります
④布を内側に貼りつけます
⑤布が乾いたら石膏を外します
細かいところまで作り込んでいる服、まるでそのまま使えそうなほどの小道具、動物や食べ物も本物以上の質感です。小さい頃は母親が洋服を作ってくれたけど、今はそんな人の方が少ないのでしょうね。ボタンも糸で縫っているし、靴に当たるズボンのシワや着物の着付けも、まるで今から歩き始めそうな雰囲気です。会場は、昭和をテーマにしたもの、戦争をテーマにしたもの、子供達の生き生きとした表情をテーマにしたもの、映画へのオマージュ...100点以上の小さな宇宙のようでした。夏の日の女の子、映画「秋刀魚の味」をモチーフにしたお嫁さん、うたた寝してしまった少女、雪子、野球少年、落語の稽古中の少年、現代の女の子のブーツ。素敵だったなぁ...。
大手町7時スタートの仕事の時には、丸の内線を銀座乗り換えします。6:45ごろでしょうか、決まって会う小学生が何人かいます。おそらく有名な進学校なんでしょうね。幼い顔に聡明そうな表情。分厚い本を読みながら弟の面倒を見たり、ぼんやりしたり、座って浮いた足をぶらぶらさせたりしているのを見ていると、ああ、子供たちってあまり昔と変わらないんだなぁ...と感じます。
●会期:9/16-10/4
●会場:松屋銀座8階大催場
●時間:10:00-20:00
※写真をクリックするとパンフレットが大きく表示します
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