見事なオープニング
主人公のウスナビ(名前の由来がU.S. Navyだったことは後で分かる)浜辺のカフェで子どもたちに話しかけている時に木の椅子を叩くリズムがクラーベになり、一転してワシントンハイツに移動して軽快なラップと共に街と登場人物を説明。もぉ、これだけで乗り出してしまった。
ワシントンハイツという場所は個人的には馴染みがないが河村要助さんの『サルサ天国』の冒頭「アップタウンの夏」の場所辺りだろうかと。偶然にも前日のクイーンズのクラブ(Casa Borinquen)でベシーノスのライブを見て、ワケあってマンハッタンのクラブへ出演するというので彼らの車に同行した幸せを想い出して涙。
https://borinquen.typepad.jp/blog/2005/01/salsa8.html
プールでの上からの俯瞰(ミュージカルらしい)、ダンスクラブの圧倒的なダンス〜突然の停電〜花火、Carnaval del Barrio、ラスト近くのベニーとニーナのバラードのミュージカル的仕掛け。別れの日ウスナビがバネッサのために買ってきたシャンパンを飲まずにどうなったのかな...と心配しているとちゃんとラストに。どのシーンを切り取ってもドリーミング。躍動感とキュートさが夢を忘れかけている私にグイグイ迫ってきた。
そうそう話題のパンフレット。伊藤嘉章さんの丁寧な解説(Keyword、Column)はとてもためになった一方、宇野維正氏のサウンドトラック解説は事実誤認が目立ち修正版が必要かもしれない。まぁ、伊藤嘉章さんがELPopでサウンドトラックについてかなり詳しく解説されているのでこちらを一読を。
http://elpop.jp/article/188879366.html
個人的には、「Piragua」が大好き。原作作詞作曲ピラグラ売りで本人が登場。思わずにやりとしてしまうエンドロール後のユーモアも忘れられない。腕が出ただけでその存在感を示していたマーク・アンソニーは、エンドロールテーマで登場(Home All Summer)。
シャンパンで思い出したのがヒチコックの大傑作恋愛映画『汚名』(1946)。どのシーンもいつ観ても魅了されっぱなし。シャンパン関連ではバーグマンのために買ってきたシャンパンをFBIの事務所に忘れたケーリ・グラント。その時シャンパンに意味ありげにズーム。これがバーグマンのお披露目パーティーでシャンパンの補充と鍵を巡るサスペンスにつながるところも見事だ。ヒッチコック本人はシャンパンを一口飲んで画面から消えるカメオ出演も楽しい。
そのワイン貯蔵庫の鍵、AFIからヒチコックへ功労賞を授与される時に、司会のバーグマンがお守りに持っていたその鍵をヒチコックへ渡すという洒落た演出もあったそうだ。
こうしていると、ヒッチコックをもう一度(何度か目の)おさらいをしたくなってきている。観るとしたら、次あたりから始めようかナ。
バルカン超特急 1938
海外特派委員 1940
白い恐怖 1945
見知らぬ乗客 1951
■イン・ザ・ハイツ
https://wwws.warnerbros.co.jp/intheheights-movie.jp/
コメント
コメントフィードを購読すればディスカッションを追いかけることができます。