アリサから直々の指名を受けたジェニファー
スプスプリームスをテーマにした『ドリームガール』ではいいんだけどちょっとトゥーマッチ感があったのがジェニファー・ハドソン。アリサ・フランクリン本人が生前伝記映画に意欲を持っていて、直々の指名を受けたジェニファー・ハドソン。私の心配をよそに素晴らしい映画になった。
性的虐待、人種問題、女性開放問題、公民権運動、ブラックパンサーを背景にドキュメンタリーを軸にアリサの心情を織り交ぜていく進行にあっという間の146分。父の束縛と夫の暴力からの開放の末に『アメイジング・グレイス』にも描かれたLAの教会でのシーンまで1952〜1972年、個人的問題(デーモン)を克服した姿も晴れがましい。『アメイジング・グレイス』で歌い出す前の妙に落ち着きがなくおどおどした姿が気になっていたが、これでその理由が理解できた。
名曲が生まれる瞬間
アリサを教会に連れ戻すと考えたジェリー・ウェクスラーはアラバマ州のフェイムスタジオで録音を計画。スタジオミュージシャンは白人ばかりだったことに夫の怒り。それでも音を重ねていくうちに独特のグルーブが生まれ出る「I Never Loved a Man(The Way I Love You」は鳥肌モノだ。
オーティスが「すっかりオレの曲が乗っ取られちゃったよ」と言っていた「Respect」のアリサの愛称「Ree」とRespectの「Re」からバックコーラスが生まれたこともファンとしてはうれしい発見。(これはアレサではアリサと呼んでいないと分からないことだネ)
どこか面影があって
ジェリー・ウェクスラー、スプーナー・オールダム、リック・ホールは妙に似ていて喋り方もそっくりなのには思わずニヤけた。その他、ジェームズ・クリーヴランド牧師、スモーキー・ロビンソン、アート・テイタム、デューク・エリントン、サム・クック...俳優と分かっていてもどこか面影があってやはりニヤニヤ。
ロールエンドに涙
LA教会での「Amazing Grace」を歌いかける姿にうるうるしていたら、直後のロールエンドには、2015年ケネディーセンターでキャロル・キングの名誉授賞式にゲスト主演した姿が映され、もう我慢できずに涙。ジェニファーの情熱とアリサへの尊敬の念の結集した映画の素晴らしさをもう一度体験したいな。それまでアトランティックデビューから教会までちょっとおさらいしておきたいな。
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