知っているようで知らなかった近田春夫のこと
ハルヲホンもビブラストーンも聴いたことがなく、ソロでは『天然の美』『電撃的東京』を聴いただけのファンともいえない状態。気にしていたのが、ポパイに連載されていた「THE 歌謡曲」(1978-1984)でも郷ひろみ〜筒美京平の再発見。音楽を聴くよりのこうした活動を追いかけていた。現在週刊文春の「考えるヒット」も毎週読んでいる。
音楽生活50周年、生誕70年を記念した「調子悪くてあたりまえ 近田春夫自伝」は、エレキブーム〜GS〜ロック〜ポップス〜ヒップホップ〜ハウス...と時代を駆け抜けた姿と表と裏の音楽史がまとめられている。近田春夫と関わる多彩なミュージシャン、ああこういうふうにつながっていたんだと思いながら一気に読んでしまった。
タイトルはガンとの闘病生活から。その生還後のLUNASUNとしての『Original Heaven』(2018)のハモンドの炸裂がやけに今の気分に合っていてとてもいい。
日本のロックを熱心に聴いていた71〜75年まで
高校生から大学生まで、個人的に日本のロックを熱心に聴いていたのは71〜75年まであたりまで。75年に衝撃的にサルサと出会い、10年ぐらいはサルサ以外はほとんど聴いていなかった。「70年代シティ・ポップ・クロニクル」にはほぼ同世代的に音楽に触れていた萩原健太さんの年代記。うまくまとめられた『風街ろまん』全史に導かれて、紹介されるアルバムの数々。
風街ろまん / はっぴいえんど 1971
大瀧詠一 / 大瀧詠一 1972
摩天楼のヒロイン / 南佳孝 1973
扉の冬 / 吉田美奈子 1973
Barbecue / ブレッド&バター 1974
久保田麻琴Ⅱ〜サンセット・ギャング 1974
MISSLIM / 荒井由実 1974
黒船 / サディスティック・ミカバンド 1974
HORO / 小坂忠 1975
SONGS / シュガー・ベイブ 1975
バンドワゴン / 鈴木茂 1975
センチメンタル・シティ・ロマンス 1975
火の玉ボーイ / 鈴木慶一とムーンライダーズ 1976
泰安洋行 / 細野晴臣 1976
熱い胸さわぎ / サザン・オールスターズ 1978
はっぴいえんどは、仙台のピーターパンでよく聴いてたせいか、どちらかというとラストのほうが好きだった。吉田美奈子とローラ・ニーロの共通点については随分遅くなってから気がついた。東京で再会した高校時代の友人に教えられて衝撃的だったのが荒井由実の1stと2nd。それ以上の衝撃だった山下達郎の存在。バンドにこだわった鈴木茂の眩しさ。常に憧れの加藤和彦。イントロからやられてしまった「勝手にシンドバット」。キャラメル・ママのサウンドは好きだったけどティン・パン以降は魅力を感じなくなってしまったことも思い出す。私の思いと健太さんの思いがシンクロして、紹介されている曲を聴きながら読むのがホント楽しい。
『近田春夫自伝』と『70年代シティ・ポップ・クロニクル』を同時代で重ね合わせると、はっぴいえんどから派生したグループとそれ以外のグループがあって、あまりクロスしていないような気がしてる。個人的には後者の方をある時期まで熱心に聴いていたものだが、『近田春夫自伝』から解き明かされる音楽史のほうが知らないことも多くそれぞれが刺激的だ。それは、5年おきに繰り返される松本隆○○周年への違和感もあるのかもしれない。
コメント
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