あなたと私の合言葉 さようなら、今日は 1959.1 25
市川崑監督の小津映画オマージュ。会話、カット割り、結婚前の父と娘と妹も同じようなテーマ。京マチ子の多才ぶりとクネクネの船越英二もいい味を出している。変な声で笑う、猫目のメガネ(メガネを外した直後がまたかわいい)、突然の泣き顔、ヘアースタイル...やはり麗しい若尾文子にぞっこん。出番は少ないが当時24歳の野添ひとみのスチュワーデス姿、虫歯を氷で冷やしているコケティッシュな顔、さばさばとしてあっけらかんとしてかわいい。この流れであの傑作コメディ『婚期』が生まれたのだろうと想像するのも楽しい。
安珍と清姫 1960.8 26
物語は高慢ちきな清姫(若尾文子)が修行僧(市川雷蔵)に惚れ込み、修行僧も煩悩に苦しむ。最後は大蛇に化けた清姫も登場するなど『ガメラ』を生んだ大映特撮を垣間見ることができる。なんと若尾文子のあらわな胸も見られる、ある意味での珍品=話題作。村松友視がインタビュー集「大人の極意」(第二十七話 大女優の輝ける度胸)でこのシーンについて突っ込んだ質問をしているが、さらりとかわされてしまっている。
東京おにぎり娘 1961.5 27
当時の新橋、烏森神社付近を鮮やかな色合で描く作品。昔気質のテーラー職人の父鶴吉(中村雁治郎)と娘まり子(若尾文子)の結婚を巡るお話。店をたたみ改築後始めたおにぎり屋が大繁盛。まり子目当てで通い詰める社長(伊藤雄之助=「忍びの者」の一人二役怪演が忘れられない)とジェリー藤尾との対比。訳ありのはま(藤間紫)の存在感、鶴吉の隠し子みどり役の叶順子はいつになくかわいい。
若尾文子は初めは真っ赤なセーターで登場。和服の着こなしも堂に入っている。酔っ払ってくだを巻き、挙げ句はワンワン泣き崩れる姿(翌朝はけろりと)にハラハラドキドキ。最後に恋の行方も上品な余韻で締めて愛すべき作品。主役をさらったかのような鶴吉(中村雁治郎)の「大阪生まれの江戸っ子」に、ウマイこと言うなぁ...と感心してしまった。
若尾文子映画祭アンコール決定
新型コロナウィルスの影響で映画館は3/28-29は休館。それもあって先週に映画祭はアンコール上映を決定。期間は、9/25(金)~10/22(木)の27日間。今回日時の都合で観られない映画も数多く、アンコールはありがたい。今回は「その夜は忘れない」を最後に打ち止め、次回を楽しみに待っていよう(そのころには落ち着くことを願って)。
http://www.kadokawa-cinema.jp/yurakucho/news/1156.html
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