女は二度生まれる 1961.7 28
不見転芸者の小えん(若尾文子)と、寿司屋の板前野崎(フランキー堺)、遊び人(山茶花究)、大学生(藤巻潤)、建築家筒井(山村聡)、少年工(高見国一)など男から男への毎日。置屋摘発後筒井と銀座のバーで再会し二号へ。半年で筒井が死後、座敷で牧に再会したが外人の相手を頼まれ絶望。少年工と信州へ行く途中で、山葵屋に婿入した野崎の家族と電車の中で気まずい再会。雪山が見たがる少年工にお金と筒井からもらった時計を渡し途中で別れ、故郷に向かう小えん...。
川嶋雄三監督若尾文子三部作の1作目。舞台は靖国神社南富士見町の花街。当時の風俗の不見転芸者でありながらパセティックにならずさっぱりとと演じている。筒井に囲われ、故郷に向かう姿で二度生まれるという意味なのだろうか。男たちのこだわりと小えんのこだわりのなさを対比的に描いているのは川嶋監督の持ち味。大映の製作会議の席上で「若尾クンを、オンナにしてお目にかけます」と啖呵を切った川嶋雄三。
紅白格子柄の長襦袢姿になって胸元に懐紙を入れ、あの声で「あのぉ、電気消してもよろしくて?」。んもぉ、冒頭1分で悶絶。開店直前の寿司屋で野崎の行方を尋ねた後「自家発電で済ませているの?」とカラッと言えるシーン、ラストシーン近く時刻表を見ながら時計を見ようとするが、少年工に渡していることに気がつくシーン、予想不可な展開も含め見どころ満載。4Kデジタル修復のため画面も一層艶やかになっている。
若尾文子さん音声インタビュー付特別映像 2020.1.28
今回の映画祭向けのインタビュー。溝口健二監督、増村保造監督、川嶋雄三監督とのエピソードが中心。既出が多いが、やはり本人の肉声で語る25分はかなり貴重。しかも、今年の1/28の声。ややかすれ低い声にも往年の艶やかさもありじっくりと聴き入ってしまった。
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