切々とした想い
この曲を初めて聴いたのは中学生の頃。BS&Tのボックスに収録されていたと思う。当時のCBSソニーは色々なボックスを出していて、お小遣いでは複数のアルバムを買えないので、ベスト盤+色々な解説を含んだボックスを大事に聴いていた。アル・クーパーが結成し、その後本人は辞めさせられたBS&Tの1stアルバムから。作者のニルソン(これも1stアルバム)はバロック仕立てでメランコリックなテイストだが、BS&Tはボサノバ風で軽快さが持ち味。ランディー・ブレッカーのサックスもいい味を出している。
で、最近のマイブームのグレン・キャンベルの6枚目のアルバム『Gently On My Mind』にひっそりと収録されているバージョンがとてもいい。本人が弾いている(と思う)アルペジオのイントロやオブリガート。べたつくことなくさらりと歌いながら、彼女への情感を切々と歌い上げる。カントリーを超えてポップス歌手としてブレイク直前の爽やかさもにじむ。いいんだなぁ、好きだなぁ。アルバムジャケットも(以前はこの手は敬遠していたけど)素晴らしい。こんな髪型で、こんな風なジャケット、モズライトの12弦ギター、ちょっと憧れちゃうな。
YouTubeで色々探してみるとライブ嫌いだったニルソンのライブを見つける。装飾を抜いたギターの弾き語りが、しみじみいい。曲が良くて歌詞が良くて歌も上手い。大事にしたくなるほどの歌唱だと思う。下の動画はコンサートのフルバージョンで高画質。22:24あたりからが「Without Her」だけど、このコンサート=ムービーはとても興味深いので全部見ても楽しい。
この曲は数多くのカバーがあり女性が歌うと「Without Him」になるが女性が歌うとベタッとした感じで好みではない。色々聴いたがグレン・キャンベルとBS&Tの対照的なカバーが好きだ。おそらく、BS&Tのアレンジを参考にしたと思われるアストラッド・ジルベルトのバージョンもちょっと消化不良。
パイドパイパーの長門芳郎さんがオムニバス(ベスト・オブ・パイド・パイパー・デイズ)にBS&Tのバージョンを入れた気持ち、今になってやっと分かった。
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