なんといってもおいしい鰹が食べたい
そう思いたち5:30に出発して千倉へ。有名な川柳のように道中の青葉若葉に目を奪われるほど、山々の緑のグラデーションが眩しかった。今年初めての大徳家さんは大賑わい。ちょっと男の色気も艶やかな大将がいつもの笑顔で迎えてくれました。カウンターの端に座ってまずはちょっとつまんでみる。
ふんわりとした鰆は皮目を炙った焼霜造り、熟成中のひらまさ、そしてなんといっても鰹。冷凍技術の進化や遠洋漁業で季節感がなくなってきているとぼやいてましたが私も同意見。こうして初夏の香りを届けるようなさっぱりとした鰹をいただけるなんて、ほんと幸せ。本柚子、花柚子、シークワーサーをブレンドした大好きな自家製熟成ポン酢ってホントどんなお魚にでも合うから不思議だ。
うっすらと下地がついたほんのりと苦味のあるクノ芽のお浸しは地元千倉産。イカの塩辛のたれをかるくふりかけた黒ムツのレバーはこってりと深みのある味。キリリと冷えた日本酒がほしいところですが運転手なので我慢。ふり塩が絶妙なカマ塩焼きはハフハフしながら皮までむしゃむしゃ。焼く前に包丁で筋を入れておくのがコツだそうです、なるほど。
あとはお任せで
もちもちとしたあかはた、熟成を重ねたしまあじ。丁寧な下ごしらえにいつもながら身を乗り出しそうになってしまう。ヤリイカは岩塩が振ってあり口内に広がるレモンの香りが不意打ちのよう。やわらかく歯ごたえも残るミル貝、私をひかりものに目覚めさせてくれたコハダ。おいしんだなぁ。
ひっきりなしに注文がはいり手を休ませる隙もないのに、千倉の素晴らしさをタイミングよく握っている横顔にも初夏の爽やかな風すらも。
自家製の熟成ポン酢に漬けられた車海老。この辺までくるとおいしいねぇ〜という言葉も溜息に替り涙目。珍しいのが入ったのでとムラサキウニは岩塩が振ってあるのでそのまま。口の中でとけていく磯の香りに翻弄されてしまう。炙ったハラトロもすぐさまとろけて尋常じゃないほどのおいしさ。
この三連続でクラクラしていると、季節の穴子。こうして味付けの違うところでふっと息をつかせる。憎いじゃないか、この流れ。「何かもう少し握りますか?」と言われて、初めてのりくえすとの鰹でさっぱりと締める。初夏の香りがツーンと鼻に抜けて、二人で顔を見合わせてニンマリ。
ありがとう、大徳家さん。
こうして季節が移り変わりをさりげなく知らせてくれて。
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