WONDER LAND 佐々木香菜子作品展「日常の隙間にどうしようもなく湧き上がるナニカ」書きかけの手紙を夜明け前に読み返すように

秘密の入り江を探すために待ち合わせて
山道を登り、高原を歩き
TOCCAサマーコレクションのためのフラワーモチーフの数々の源流ほど素晴らしいものがあるのだろうか。月の明かりが海に反射して透明な水源を教えてくれるように、静かにただよう原画の美しさ。久し振りに会った香菜子さんに、それがどこから来たのか尋ねて。

例えば、この紫陽花もそうですが、普段思っているやり過ごすことのできない感情が花を前にして
際だっているように
自分を膨らませてくれる
右下のザラッとした感触は道端の湧き上がるざわめきなんです

あまりにも多くを望み、望まれない日々
手の中にふわりと迷い込んだツバメのようにせわしない謎
何かを待っているような躊躇いにも似た手垢のついていない温かい心。ひとつだけうつむきながら思うことがあるのなら、満月の後に残されたもの。澄んだ瞳にみょうにドキドキして、少しだけ（いや、それ以上に）幸せな場所。ここ数週間、90度パーン、シンメトリ、スットップモーションに埋没していた私にとって多くの感情の引き出しを見つけるきっかけとなりました。