吉祥寺の部屋に飾ってあったカレンダー
浅井慎平さんといえばビートルズの来日中の写真を撮った...という有名な話がありますが、私にとってはキャノンのカレンダーに移るカリブ海の海。確か、キャット・スティーヴンスのジャケットに写る風景でジャマイカ行きを決めて、ハイチではタブー・コンボ(New York City)を知るといった話が、当時の私には強烈な印象でした。ヴァン・ダイク・パークスをきっかけとして南下を始めた私の音楽志向とちょうど重なるような、サルサを知って人生が変わってしまった少し前のこと。「海流の中の島々」という写真集を手に入れたのはもう少し後だったような気がします。
写真を楽しむよりもむしろ空間を楽しむ
1991/5月に創りあげられたこちらは、美術館のある風景をコンセプト。いままで何度も千倉に行っていますが何故か訪れることもなく、isola bellaのオーナーの一声で訪れてみました。大きな空間に展示されている写真から生まれる風景、さりげない暖炉の温かさ、風景にとけこんだ佇まい、大きな窓から差し込む光。冬から春へ、春から夏へ、夏から秋へ、その季節の折り重ねにどんな表情になるのかもっと知りたくなりました。
森の探索
密かな楽しみ
海岸線ばかりうろうろしているものですから実は千倉の山方面に来るのも初めて。千倉駅からクルマで数分のところだったのにね。落ち葉を踏みながら急な坂道を登って行くと、落ち葉の色や風の匂いも少しずつ変わっていくのを感じていました。美術館の方にお話を伺うと、なんとイノシシが山から下りてきてるそうです。夏は蛇や蜂にも注意。庭師が丁寧に庭を整えている反面、カサカサとした音の向こうに何かがいそうで、つい身構えてしまう軽い緊張感を含む、手付かずの自然が残っているところもなんとも魅力的。獣に見つめられているように思ったのは、気のせいだろうか。
浅井慎平さんが千倉のことを「SOUTH IHATOVO」と呼んでいたのも分かるような。
■海岸美術館
千葉県南房総市千倉町川戸柏尾550
コメント
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